あらすじ
主人公はとある浮浪者の男。
ある日、男は街角で盲目の花売り娘から花を買う。夜、男は泥酔して自殺しようとしていた富豪を助ける。富豪は男を命の恩人として家に呼び酒を酌み交わす。二人は街へ繰り出し朝まで店で飲み明かす。朝になって富豪の家に戻ると、その家の近くの街角で盲目の娘が花を売っている。男は富豪からもらった金で娘の花をすべて買った上、富豪の高級車に娘を乗せて家まで送り、手を握って別れる。娘は男を親切な金持ちと思い込んで慕うようになる。
一方、酔いの醒めた富豪は昨夜のことをすっかり忘れていて男を追い出してしまう。その夜、また酒に酔った富豪と街で偶然再会すると彼は男を覚えていて歓待するが、その翌日はまた男のことを忘れていて追い出す。
娘は体の弱い老婆と共に狭い部屋で暮らしているが、彼女が家賃を滞納して立ち退きを迫られていることを知った男は、その金を工面しようとしてボクシング の試合に出場するがあえなく敗れてしまう。
男が途方に暮れていると、街で偶然酒に酔った富豪とまた再会する。酔ったときだけ男を覚えている富豪は喜んで男を自宅に招いた上、娘の事情を聴くと気前よく1,000ドルもの大金を手渡してくれる。しかし室内には2人組の強盗たちも居合わせており、富豪は強盗たちに頭を強打されて気を失う。男は大慌てで警察を呼ぶが、警官が到着した時には強盗たちは逃げてしまい、男が犯人と勘違いされてしまう。意識を取り戻した富豪も男のことをすっかり忘れていて弁護してくれない。なんとか富豪の家から逃げ出した男は娘の家に行き、1,000ドルを手渡して立ち去るが、その直後、街で刑事に見つかって逮捕されてしまう。
時は流れ、娘は手術により視力を取り戻し、花屋の店を開いて幸せに暮らしていた。花を買いに来るお金持ちの男性を見ては、あの人ではないかと考えてしまう日々を送っていた。
一方、刑務所から出てますますみすぼらしい姿になった男はあてもなく街を歩いていた。偶然その花屋の前を通りかかり、ショーウィンドー越しに娘の姿を見かけて立ちすくんでしまう。みすぼらしい恰好の男を見て最初は笑っていた娘だが、自分をじっと見つめる男に対して哀れみの気持ちから男を呼び止め、一輪の花と小銭を手渡そうとする。しかし、小銭を握らせるために男の手を取ったその感触から、娘はこの浮浪者こそが自分の恩人であることに気づき、男も恥ずかしそうに笑みを浮かべるのだった。
製作
1928年 5月に準備が行われ、同年12月に撮影が開始された。しかし、1929年 6月に水に飛び込もうとする富豪役を演じていたヘンリー・クライブ (英語版 ) が水に飛び込むことを躊躇したため、チャップリンは彼を解雇し、代わりにハリー・マイヤーズ (英語版 ) を立てて登場シーンの撮り直しが行われた[ 7] [ 8] 。さらに同年11月、盲目の花売り娘を演じていたヴァージニア・チェリル が「美容院に行くから」と言って撮影を早退したため、チャップリンは激怒し彼女を解雇した。代わりに『黄金狂時代 』でヒロインを演じたジョージア・ヘイル が盲目の花売り娘を演じることになったが、側近の忠告で10日後にヴァージニアを復帰させることになった(この件の顛末についてはヴァージニア・チェリル#映画界 が詳しい)。
完璧主義者のチャップリンは、ヴァージニア演じる花売り娘との出会いのシーン(正味3分ほど)に342回のNGを出し、1年以上かけて撮り直しされた(撮影日数534日のうち、このシーンの撮影だけで368日をかけている)。この「342回」という回数は、ギネス世界記録 に「1シーンにおける最多のリテイク 回数」として登録されている[ 9] 。
チャップリンは、自殺未遂のシーンのために5エーカー(約20,000平方メートル)のプールを建設し、ダウンタウン の交差点を表すために2つの通りを建設した[ 10] 。
喜劇映画研究会 の新野敏也は、「【オープニング・タイトルのCITY LIGHTとクレジットされる夜の街】と【オープニング・シークエンスで彫像の除幕式が行われる朝の街】は同じセットでほぼ同じカメラ・アングルながらも、【オープニング・タイトル】では題名に合わせて街路灯が左端に配置されている」、「オープニング・シークエンスの彫像で繰り広げられるチャップリンのパントマイム では、足捌きに合わせて靴裏のあたる彫像の部位が削られ微調整されている」などの事例を挙げて、この画面構成を「数限りなくリハーサルや撮り直しを繰り返した事が推察され、商業映画の製作コストをまるっきり無視した、完璧以上を求める天才ぶり」と表現している[ 要出典 ] 。
結局撮影を完了したのが1930年 10月5日 のことで、2年以上の月日が費やされた。さらに編集と作曲作業に3か月をかけた。音楽は20タイトル以上を作曲した。
本作の製作経緯、残存するNGシーンについてドキュメンタリー『知られざるチャップリン (英語版 ) 』で紹介されている(#外部リンク 参照)。
関連項目
ウサギの足 - お守りの一種。ボクシングの控え室のシーンで、ギャグに使われている。
蹄鉄 - お守りの一種とされている。作中でウサギの足と共に使われている。
脚注
出典
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↑ “City Lights ” (英語). Cinema-Worcester (2022年5月20日). 2024年12月29日 閲覧。
↑ City Lights (1931) - IMDb , http://www.imdb.com/title/tt0021749/fullcredits 2024年5月25日 閲覧。
↑ “CHARLES CHAPLIN City Lights ”. en:Janus Films . 2024年6月11日 閲覧。
↑ “CITY LIGHTS, Jean Harlow, (far left), Harry Myers, Charlie Chaplin, 1931 Courtesy Everett Collection PUBL ” (英語). Alamy . 2022年10月28日 閲覧。
↑ “AFI|Catalog ”. catalog.afi.com . 2024年9月29日 閲覧。 “Modern sources add the following information about the production: ... Henry Clive was originally cast as the millionaire, but when he refused to fall into the water in a necessary scene, Chaplin fired him and hired Harry Myers.”
↑ chaplinfortheages (2014年). “Chaplin is "For The Ages" ”. Tumblr . 2024年9月29日 閲覧。 “Henry Clive was the original drunken millionaire. He was abruptly fired and replaced by Harry Myers in June 1929. Harry Crocker was fired in September 1929.”
↑ “Most retakes for one scene ”. Guinness World Records Limited . 2024年5月10日 閲覧。 “The sequence in Charlie Chaplin's (UK) City Lights (USA 1931) in which a blind flower girl played by Virginia Cherrill (USA), sells the little tramp a flower in the mistaken belief he is a wealthy tycoon, took 342 takes.”
↑ Giddins, Gary. “City Lights: The Immortal Tramp ” (英語). The Criterion Collection . クライテリオン・コレクション . 2025年1月20日 閲覧。 “He constructed a five-acre pool for the attempted-suicide scene and two streets to represent a downtown intersection.”
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↑ (英語) City Lights (1931) - Release info - IMDb , https://www.imdb.com/title/tt0021749/releaseinfo/ 2024年8月31日 閲覧。
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the film’s non-talking status to his advantage as a
daring artistic choice. Chaplin’s negative cost for
“City Lights” was $1,607,351.63. The film eventually
earned him a worldwide profit of $5 million dollars
($2 million domestically and $3 million in foreign dis
tribution), an enormous sum of money for the time.”
↑ “City Lights ”. Box Office Mojo . 2024年8月31日 閲覧。
↑ チャップリンの「街の灯」、更に続映『中外商業新報』昭和9年2月3日夕刊(『昭和ニュース事典第4巻 昭和8年-昭和9年』本編p15 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
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