ウルトラ・ヴァイオレット

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「ウルトラ・ヴァイオレット」
U2の楽曲
初出アルバム『アクトン・ベイビー』
リリース1991年11月19日
ジャンルロック
時間5:31
作詞・作曲ボノ
作曲U2
プロデュースダニエル・ラノワ、ブライアン・イーノ
ミュージックビデオ
「Ultra Violet (Light My Way)」 - YouTube

『ウルトラ・ヴァイオレット』(Ultraviolet (Light My Way))は、アイルランドのロックバンド、U2が1991年に発表した第7作目のスタジオ・アルバム『アクトン・ベイビー』の10曲目に収録されている楽曲。

モータウン・ポップを彷彿とさせるキャッチーで明るいコーラス(「Baby, baby, baby, light my way」)を持つ、U2らしいスケールの大きな壮大なロック・ソングだが、その表面的なポップさの裏には、嫉妬や不貞、破綻しかけた関係性における異常な執着といった、非常にダークで不穏なテーマが隠されている。

解説

制作初期に頓挫した「レディ・ウィズ・ザ・スピニング・ヘッド」(後にB面曲として収録)というデモ音源から、「ズー・ステーション」や「ザ・フライ」と共に派生して生まれた[1]。

この曲の録音中には、当時のバンドのサウンドの方向性そのものを象徴するような出来事が起きている。曲の半ばで、ドラムのラリー・マレン・ジュニアがスティックを1本落としてしまった。その音はトラックにはっきりと録音されていたが、メンバーはそのまま演奏を続けテイクを終えた。すると誰かが「このまま残してはどうか。ラリーがドラムスティックを落としたところを」と提案をした[2]。

プロデューサーのブライアン・イーノは、「レコードにはどれくらい“傷も含めた自然な瞬間”を残し、どこまで修正するべきなのだろう?」という根源的な問題提起を行った。しかし、実際にミスをしたラリー本人にとっては「自分たち全員が無能だとファンにさらけ出すつもりか? 最終的にバンドを台無しにするレコードを作ろうとしているのか?」と冗談にしか聞こえなかった。結果として、この「馬鹿げたミス」をレコードに残すか否かで3時間にも及ぶ激しい議論が交わされ、一時は意見の対立でアルバムそのものが壊れかねないほどの事態になったという[2]。

また、ボノが初めて「Baby, baby, baby / light my way(ベイビー、僕の道を照らして)」というサビのメロディーを歌ったとき、スタジオにはある種の笑いが起こった。それまでボノが「baby」という言葉をそのような俗っぽい形で歌うのを聞いた者が誰もいなかったからだ。当初はメロディを探るためのスキャットだと思われていたが、それが正式な歌詞になると分かると、「女性を『baby』と呼ぶのは見下した表現にならないか?」というポリティカル・コレクトネスの懸念や、「本当に彼が『Baby, baby, baby』と繰り返し歌って通用するのか?」という議論が起きた。エンジニアのフラッドは「しばらくの間、それがものすごくおかしかったんだ。でも、結局彼はちゃんとやり遂げたよ」と振り返っている[2]。ボノ自身もこのコーラスについて、「ほとんどモータウンのようなコーラスで、まさに”ベイビーの頂点”とでも言うべきだ」と語っている[1]。

しかし、その明るいコーラスは非常にダークな内容を覆い隠している。ボノは「少し病んだところのある曲だ。『君の愛はたらい回しにされた秘密(Your love is a secret that's been passed around)』という一節があるように、嫉妬や不貞(不倫)、そういった愛の醜い部分が顔を覗かせている」と語る。また、曲中の『誰も眠れない時に家を包み込む静寂(There's a silence that comes to a house when no one can sleep)』という印象的な一節は、アメリカの作家レイモンド・カーヴァーの作品からの無断借用あることをボノ本人が認めており、「謙虚に白状しておくよ。ごめんなさい」と冗談めかして謝罪している[1]。

ライブ

名曲である一方で、演奏するには極めて扱いにくい楽曲でもある。作曲者のジ・エッジは「間違いなくエピックな名曲だけど、路上ライブの定番曲になるような曲じゃない」と語る。かつてエッジがボブ・ディランに「人々は何千年先になってもあなたの曲を演奏し続けるでしょうね」と言った際、ディランは「彼らは君たちの曲も聴き続けるだろうさ。ただ、どうやって演奏すればいいのか誰にも分からないだけさ」と返したという。エッジは「時々、その『分からない誰か』の中には、僕ら自身も含まれているんだけどね」と演奏の難しさを語っている[1]。。

実際のライブでは、Zoo TV ツアーのアンコールでボノが銀色の衣装に身を包み、マイクスタンドを振り回しながら歌い上げるパフォーマンスが定着した。以降長らく演奏されなかったが、U2 360°ツアーで復活した。2009年のツアーではアンコールで演奏され、ボノはレーザーを組み込んだジャケットを着用し、空中から吊り下げられたハンドル型のマイクを使って歌う演出を行った[3]。

2017年のヨシュア・トゥリー・ツアー2017でも演奏され、アンコールの一曲として披露された[4]。2019年のヨシュア・トゥリー・ツアー2019でも引き続き演奏され、日本公演ではさいたまスーパーアリーナでも披露された[5]。

2023年から2024年にかけてラスベガスのスフィアで開催されたU2:UV アクトン・ベイビー・ライヴ・アット・スフィアでも演奏された。U2公式サイトによれば、本曲は全40公演を通じて毎晩のハイライトの一つとなった[6]。スフィア公演では、楽曲に合わせて巨大スクリーンを使用した映像演出も行われた[7]。

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脚注

出典

  1. 1 2 3 4 U2 BY U2 2006, p. 228.
  2. 1 2 3 Stokes 2009, p. 139.
  3. ↑ “U2360° TOUR”. U2.com (2009年7月25日). 2026年8月19日閲覧。
  4. ↑ “The Joshua Tree Tour 2017”. U2.com (2017年6月28日). 2026年8月19日閲覧。
  5. ↑ “The Joshua Tree Tour 2019”. U2.com (2019年12月5日). 2026年8月19日閲覧。
  6. ↑ “It's A Wrap”. U2.com (2024年3月14日). 2026年8月19日閲覧。
  7. ↑ “'Light my way…'”. U2.com (2024年1月23日). 2026年8月19日閲覧。

参考文献

  • U2 著、前むつみ,久保田祐子 訳『U2 BY U2』シンコーミュージックエンタテイメント、2006年。ISBN 978-4401630417。 
  • Stokes, Niall (2009). U2: The Stories Behind Every U2 Song. Carlton Books Ltd. ISBN 978-1847322876 
  • Bono (2025). Bono: Stories of Surrender. Penguin (Cornerstone). ISBN 978-1529160598