ベイグラントストーリー
| ジャンル | ロールプレイング・アドベンチャー |
|---|---|
| 対応機種 |
PlayStation ゲームアーカイブス(PS3/PSP/PS Vita) |
| 開発元 | スクウェア |
| 発売元 | スクウェア |
| プロデューサー | 松野泰己 |
| ディレクター | 松野泰己 |
| シナリオ |
松野泰己 秋山淳 |
| プログラマー | 村田琢 |
| 音楽 | 崎元仁 |
| 美術 |
吉田明彦 皆川裕史 |
| シリーズ | イヴァリースアライアンス |
| 人数 | 1人 |
| 発売日 |
PS one Books: アルティメットヒッツ: ゲームアーカイブス: |
『ベイグラントストーリー』(VAGRANT STORY)は2000年2月10日にスクウェアよりPlayStation用ソフトとして発売されたロールプレイング・アドベンチャー。
廉価版として2002年2月21日にPS one Books版、2006年7月20日にアルティメットヒッツ版が発売された。また2009年8月12日からゲームアーカイブスでダウンロード販売が開始された。
概要
松野泰己をはじめとする『ファイナルファンタジータクティクス』のスタッフによって開発されたアクションアドベンチャーRPG。プレイヤーは主人公アシュレイを操作し、廃都「レアモンデ」でモンスターや敵対者と戦いながら探索を進める。
物語は、後に「グレイランド事件」と呼称される一連の事件を描き、発端のバルドルバ公爵邸襲撃事件から、その一週間後のバルドルバ公爵殺害事件までの空白の期間を紐解く形となる。事件の関係者が集結するレアモンデを舞台に、公爵殺害の容疑者となるアシュレイの視点でプレイヤーは「真実」を体験していく。
『ファイナルファンタジーVII』などそれまでにスクウェアが発売した作品の多くが、背景をCGで制作しイラストとして使用、キャラクターはポリゴンによって生成するという手法が取られていたのに対して、本作では背景やキャラクターをフルポリゴンによるリアルタイムレンダリングを行っており、移動・戦闘の画面切り替えなく進行する。PlayStationの多くのゲームに多用されているプリレンダリングムービーはオープニングとゲーム序盤の一部にしか使われていない。
これによって主人公キャラクターに割けるポリゴン数は『FFVII』や『ファイナルファンタジーVIII』の約半分程となった[1]が、テクスチャマッピングによってそれらよりもサイズが大きく高い頭身となっている。また、ストーリーの進行するイベントでは、キャラクターの感情を表現するために表情の変化が行われる。この際に使うテクスチャはPocketStationの画面ほどの大きさのもので、これを補う形で色の明度の変化によって違和感のないアニメーションを行っている[1]。
システム
- 成長
- ゲームはRPGに分類されるが、主人公は各エリアのボスを倒した後に出るスロット式の結果と特定のアイテムの使用以外では成長せず、バトルアビリティやブレイクアーツ等の戦闘時の技を、物語が進むにつれて想い出す形をとっている。攻撃力等の能力値は、使っている武器や防具の経験値の様な形で変化するため、使い込むほど強い武器となるシステムになっている。
- 戦闘
- 敵とエンカウントした際戦闘画面への移行は無く(シームレスバトル)、通常のリラックスモードからボタンを押して抜刀し、バトルモードになることで戦闘態勢になり、攻撃を出すことができる。バトルモード時にボタンを押すことで、自分の射程範囲を示すターゲットドームが出現、射程内の敵のリム(部位)を選択するとその部分をピンポイントに攻撃する。リムへのダメージが重なっていき一定の値まで達するとその部位によるステータス異常が起こるが、リムの状態に関わらずキャラのHPが0になると戦闘不能になる。これはプレイヤー側も同じことである。
- 武器攻撃のたびにプレイヤーには「RISK」という数値が溜まっていき、これが高いほどプレイヤーが受けるダメージが多くなり、プレイヤーの攻撃の命中率も低くなっていく。RISKが高いと魔法を一発食らっただけでゲームオーバーということもしばしばあるのでRISKの管理が重要である。またHPを消費して繰り出す必殺技「ブレイクアーツ」や複数のリムを攻撃出来るなどの効果を持つ魔法、戦闘中にタイミングよくボタンを押すと、さまざまな効果が起こる「バトルアビリティ」など様々な要素がある。
- 回復
- 本作にはアイテムショップや宿屋の類は存在せず、武器・アイテムは全て敵が落とすものか宝箱から入手するのもので賄い、回復も魔法かアイテムで行うしかない。魔法に必要なMPはリラックスモードで自然回復していき、他にも無限に利用可能なヒールパネルのトラップなども存在するため、回復手段が尽きて詰む心配は無い。
- マップ
- 全体は大きく分けて23エリアで構成され、各エリアが10 - 30程度の部屋に分かれている。うち数カ所は箱を動かす事で出口に行けるような、パズル的部屋も用意されている。部屋には全て名前が付けられており、部屋の名前を読み進めるだけでも都市レアモンデの様子がうかがえる。また、一度クリアしないと行けない部屋もいくつか用意されている。
- 称号
- ゲームの進め方を評価する称号がいくつか用意されており、得点によるリスクブレイカーランキング、最速クリア時間などのリスクブレイク、使い込んだ武器に与えられる称号、の大きく3つに分けられる。特にリスクブレイクは簡単に得られるものと難しいものがあるため、全ての称号を得るには何周もプレイする必要がある。
- 2周目以降
- 一度ゲームをクリアしセーブした後、物語の最初に戻ってゲームを続けることができる。1周目で集めたアイテムはほとんど消えてしまうが、習得した魔法・アビリティ・ブレイクアーツ、入手した武器と防具はそのまま継承される。能力値もゲームクリアの際のものが持ち込まれる。規定時間を下回るプレイ時間でクリアすれば新たな称号も得られる。1周目をクリアすれば「真実を知る者」の称号が与えられ、そのセーブデータにはホーリーウィンのマークが付く。また、各所にある「血塗られた聖印」の扉が開くようになり、新たなエリアを探索したりより強いボスと戦える。
- PlayStation 2の補完機能
- PlayStation実行時ではドットで表現されるグラデーションを、滑らかに表示する機能。本作の画像はポリゴンとテクスチャマッピングで構成されており、PS2ではテクスチャの絵がより奇麗な画像になる。キャラクター1体に使用したポリゴン数はわずか320〜330枚(『FFVII』、『FFVIII』では約700枚)、顔の表情は32x32のドット絵をテクスチャマッピングとして使用した[2]。
- アイアンメイデン
- ヨクス教がかつて異端審問に使っていた部屋の総称。ゲームでは1度クリアしないと行けない場所が多い。
ゲームシステムに関する用語
- リラックスモード
- 武器を構えていない通常の状態。リスクとMPが徐々に回復し、キューブ操作も可能だが攻撃は行えず、装備の防御効果も無くなる。
- バトルモード
- 武器を構え、戦闘体制を取った状態。攻撃が可能で装備の防御効果が反映される。しかしキューブ操作は行えないので謎解きに向かない。納刀するとリラックスモードに戻る。
- キューブ
- レアモンデ内のいくつかの部屋に置かれた直方体の足場。種類によっては移動・持ち上げ・破壊ができる。「持ち上げキューブ」「押しキューブ」「転がしキューブ」「摩擦なし押しキューブ」「カウンター付き転がしキューブ」「マグネット付き持ち上げキューブ」の6種類がある。
- パズルモード
- 一度通過済みの「キューブが置かれた部屋」に入ると発生する、短時間で出口に行くミニゲーム。設定によって省略することができる。キューブを押す動作が倉庫番に例えられるが、立体的である所が異なる。
- トラップ
- レアモンデ内の床に設置された罠。主人公をステータス異常にしたり、体力を奪ったり、時には回復したりする。下記はトラップの名称を列挙したもの。
- (ダメージ系)デスヴェイパー、ガスト、イラプション、テラスラスト、フリーズ、サンクチュアリ、ディアボロス
- (ステータス異常系)ポイズンパネル、パラライズパネル、カースパネル
- (回復系・その他)ヒールパネル、キュアパネル、トラップクリア
- ペンタグラム
- 青く光る、ゲーム内容のセーブができる場所。魔法テレポートはこの上でのみ使える。
- コンテナ
- 主人公の持ち物を一時的に保管する容器。収納数に限界があるが、保存したアイテムはどの場所のコンテナからでも取り出せる。外観は宝箱に似ている。
- ファクトリー
- レアモンデ内にある武器・シールド・アーマーの合成が行える部屋。ファクトリーごとに扱える材質が決められている。
- 合成
- 主人公の武器・防具を2つ使用して、新しい1つの武器・防具を作り出すシステム。合成できる持ち物は、武器・シールド・アーマーのみ。武器なら武器、アーマーならアーマー…と言ったように同系統のアイテム同士でなければ合成出来ない。ファクトリーと呼ばれる部屋で合成できる。
- 装備称号
- 武器・シールド・アーマーの属性値の高さに応じて与えられる。「ウォリアーズ」を初めとする10種類。ゲームには影響を与えない。
- 称号
- ゲームの達成度に応じて与えられる評価。「真実を知る者」「財宝の発見者」など32種類。高いリスクブレイカーランクを得るために必要。
- リスクブレイカーランク
- プレイヤーの獲得スコアによってランクが上がる。「ノーマル・エージェント」を初めとする16種類。ゲームには影響を与えないが、ゲームクリア時の画像がランクごとに異なる。
- リム
- 主人公またはモンスターの体の部分を指す言葉。攻撃されると体力が下がる他、リムの状態も悪くなる。リムの状態がdyingになると各種ステータス異常が発生し、戦闘が不利になる。例えば腕だと攻撃力が下がり、脚だと移動速度が遅くなる、など。ただし、頭部や胸部などの急所がdyingになってもHPが残っている限り死亡しない。「翼」などモンスター特有のリムも存在し、リムによってダメージの入り易さも変わる。
- リスク
- 主人公の冷静さを表す数値。リスク値が高いという事は、焦って興奮している状態。攻撃したり、アビリティを使う事で値が高くなる。リスク値が高いと攻撃回避率が下がるなどのデメリットもあるが、体力回復魔法の効きが大きくなるなどのメリットもある。
- チェインアビリティ
- 主人公が戦闘を繰り返す内に思い出していく殺人技。攻撃するタイミングに合わせてボタンを押し、攻撃を連鎖させることができる。使用すればするほどリスク値も増加するため、リスク値とのバランスを考えた使用が重要。武器とアビリティの組み合わせによって動作とタイミングが変わる上に、連鎖を続けるほどにタイミングがシビアになっていく。そのため延々と連鎖させることは非常に難しい。
- ディフェンスアビリティ
- 敵からの攻撃を相殺してダメージを軽減、ステータス異常の回復、一定量のHPを回復、特定の属性攻撃のみを回避させる効果がある。敵に囲まれた時などの窮地を凌ぐテクニックとなる[3]。
- ブレイクアーツ
- 主人公がゲーム内で思い出す殺人技。使用する武器などにより、技の種類が異なる。ブレイクアーツの使用によって、主人公の体力も消費される。
- 魔法
- 200以上前に存在した、伝説の産物と思われていた。魔法を習得するには、主にグリモアと呼ばれる呪文書を読むことで、眠っていた魔法が甦えり使えるようになる[4]。攻撃・回復・補助・属性に分けられている[3]。古代語魔法はモンスターなどが使う。
- 特殊攻撃
- 特殊攻撃はモンスターなどが放つ攻撃。体の一部を攻撃するものと、複数の部分を攻撃するものがある。
ストーリー
The Phantom Pain
グレイランド事件の始まり
ある冬の日の夕刻。カルト教団「メレンカンプ」の一味が、バレンディア王国の重鎮・バルドルバ公爵の邸宅を襲撃、占拠する事件が発生した。VKP(バレンディア治安維持騎士団)は事件解決のため重犯罪者処理班(通称「リスクブレイカー」または「危険請負人」)のエージェント、アシュレイ・ライオットの現場投入を決定。時を同じくして王国内の政治勢力として存在感を増していた法王庁も直属の聖印騎士団(通称「クリムゾンブレイド」)を派遣し現場に介入。ロメオ・ギルデンスターン率いるクリムゾンブレイドは邸宅に放火し突入するという強引極まりない手法を採用、人質に多大な犠牲を払いながらも暴徒の鎮圧に成功する。
一方でアシュレイは事件の首謀者であり「メレンカンプ」の首魁と目される男、シドニー・ロスタロットと邸内で接触するも取り逃がし、生き残った教団幹部にバルドルバ公爵の一人息子、ジョシュアを拉致されてしまう。占拠事件終息後、アシュレイは直ちにVKP情報分析官のキャロ・メルローズと共にシドニーら教団残党が潜伏しているとされる城塞都市レアモンデ跡に潜入。またクリムゾンブレイドも教団残党を追って既にレアモンデに向かっていた。その後、ごく僅かな例外を除いてレアモンデに入り込んだ人間のほぼ全てが消息を絶った。
バルドルバ公爵殺害事件
それから一週間後、先の占拠事件では別邸にいたため難を逃れていたバルドルバ公爵が何者かに暗殺されるという事件が起きた。公爵が死亡する直前に面会していたのは、リスクブレイカーのアシュレイ・ライオットと名乗る人物だった。VKPはアシュレイを公爵殺害の容疑者として追跡するも、アシュレイの行方は分からないままである。
後にグレイランド事件と呼称された一連の事件。その真相は未だ明らかになっていない。
本編
プロローグ
バルドルバ公爵邸占拠事件に派遣されたアシュレイだが、到着して間もなくクリムゾンブレイドが突入。アシュレイはその混乱に乗じて潜入し、発見したシドニーを拘束しようとするも、抵抗されたためやむなく射殺する。しかし心臓を貫かれて死んだはずのシドニーは起き上がり、「レアモンデ」という言葉を残して逃走する。そのシドニーが足止めに差し向けたのは、伝説上の生物・ドラゴン(ワイバーン)だった。これを退けたアシュレイは不死身のシドニーやドラゴンに動じる様子もなく、昇る朝日を眺めながら冷静に次の行き先を見定めていた。一方、事件の報告を受けた公爵はワイバーンの目撃者を消すべく、クリムゾンブレイドの仕業に見せかけて屋敷を中の人間ごと完全に焼き払ってしまうように指示。そしてレアモンデに向かった関係者も全て抹殺する命令を出していた。ただ一人、誘拐された息子のジョシュアを除いて。
序盤
その日の正午前、アシュレイとキャロはレアモンデに到着。聖印騎士の自殺体が転がる不自然な状況を訝しみながらも、実戦経験の無いキャロを残してアシュレイは単身レアモンデへと足を踏み入れる。アシュレイの前には魔法や魔物など人智を超えた存在が現れるが、彼は全く動じずに奥へ進む。やがてシドニーが現れ、アシュレイの「心がない」かの如き冷静さを指摘し、野盗から妻子を守れず復讐の為にリスクブレイカーとなったアシュレイの過去を呼び覚ます。初めて声を荒げたアシュレイにシドニーは「貴様の真実は自身の中にはない」と言い放ち、自分を追ってくるように告げる。同時にキャロも捕まり、アシュレイは否応なしにシドニーを追ってレアモンデを進むことになる。
徘徊する魔物やゾンビ、シドニーが召喚した強力なモンスターと戦いながら探索を進めるアシュレイだが、身に覚えの無い殺人術を思い出すように会得し、そして「魔」を自分の力として使いこなしていく。一方のクリムゾンブレイドも教団殲滅のために多大な損害を被りながらも市街地を徐々に制圧。法王庁の目的は、レアモンデに眠るとされる究極の魔導書「グラン・グリモア」をシドニーに悪用される前に入手・管理することとされていたが、クリムゾンブレイドは「完全なる不死」なるものも求めており、グラン・グリモアも契約の一つに過ぎないという。そしてギルデンスターンもシドニーに対抗し得る「魔」の力を使い始めていた。
中盤
やがてアシュレイの前に同じリスクブレイカーを名乗る怪しい男ジャン・ローゼンクランツが現れる。ローゼンクランツは、議会も法王庁も元々「魔」の存在を認識しており、「魔」と繋がりの深いこのレアモンデを25年前の人為的な地震で「魔」の牧場として作り替えたと語る。この事件は「魔」の所有権を巡る争いだという。アシュレイは話に耳を傾けるもローゼンクランツへの警戒を解くことなく奥に進み、クリムゾンブレイドのグリッソムとシドニーが対峙している場面に遭遇。グリッソムは一度は「魔」に喰われながらも能力を超えた召喚を実行し、アシュレイはシドニーと一時協力してこれを撃破する。「魔」の牧場についてシドニーに尋ねるアシュレイに、シドニーは再び過去のビジョンを見せる。しかしそれは、野盗に妻子が殺されるのではなく、自分が見ず知らずの家族を殺す光景だった。妻子を失った記憶はVKPによって刷り込まれた偽りの記憶であると言い、動揺するアシュレイに「真実を知りたければオレを追ってこい」と告げてシドニーは再び姿を消す。
やがてギルデンスターンはこのレアモンデこそがグラン・グリモアだと気付く。そして彼らとも繋がっていたローゼンクランツをアシュレイの始末に差し向けるが、アシュレイは交戦の末に勝利。実はローゼンクランツは自分がアシュレイの元同僚だと告げ、汚れ仕事に手を染めていた頃のリスクブレイカー時代、口封じのために罪のない家族を殺した件を語る。正義感の強かったアシュレイはその罪悪感に耐えきれず、その結果が記憶のすり替えと現在の立場だと言う。自身を信じられなくなりつつも、アシュレイはキャロを助けるため、そして真実を求めてシドニーを追う。一方のキャロも他者の心を読み取る能力に目覚め、シドニーの仲間であるジョン・ハーディンの心中から彼らの真意に触れる。魔都の所有者である公爵は、死期が迫った今になって自身の罪であるこの「牧場」の始末を目論んだ。しかし公爵と繋がっていた教団はそれを拒み、公爵邸を占拠。「鍵」を奪って魔導師メレンカンプの後継者となろうとしていたのだった。そしてキャロは、ハーディンに懐くジョシュアと初めて対面していた。
終盤
その後もモンスターやクリムゾンブレイドと交戦しながらシドニーを追うアシュレイだったが、クリムゾンブレイドはとうとう魔都の中心地・大聖堂に到達。大聖堂内に連行されていたキャロは再びハーディンの心を読み、彼の動機やジョシュアへの優しさの理由を知り、それ故に復讐に走った彼を諌めるが直後にギルデンスターンらが現れ、窮地に陥る。そしてギルデンスターンはハーディンを惑わし、後継者の証である鍵が「血塗れの罪」と呼ばれるものだと聞き出すが、それはシドニーの入れ墨であり、彼は既に手に入れながらわざと後継者になっていないのだと気付く。シドニーは、資質を持ちながら「魔」を悪用しないアシュレイを後継者にしようとしていたのだった。私欲に駆られたローゼンクランツは自分を後継者にするようにシドニーを脅すが、返り討ちに遭って死亡。アシュレイは全てが集う大聖堂に乗り込む。
シドニーはハーディンらの元に駆けつける。本性を表したギルデンスターンは「腐った世を一掃し、恐怖によって制した共通の価値観で統一する」という支配思想を語りながら、ハーディンの命を盾に後継者の儀式に必要な「魂」について聞き出そうとするが、キャロが「本当に結びついた魂」でなければ意味がなく、そんな人がいるのかと訴える。シドニーはハーディンらをテレポートで退避させるが、その隙にギルデンスターンに貫かれてしまう。アシュレイが辿り着いた時には背中の皮膚ごと入れ墨を剥ぎ取られたシドニーが倒れていた。シドニーの本当の目的は実父である公爵の命を救うことだったのだが、公爵は逆にレアモンデが悪用される前に処分することをシドニーに託したのだった。そして自ら「魔」を望むギルデンスターンはやがて「魔」に食い尽くされると語り、その前に倒すことをアシュレイに懇願する。
屋上では「血塗れの罪」を無理矢理貼り付けたギルデンスターンが恋人サマンサを生贄に捧げ、人ならざるものへと変貌していた。アシュレイはこれを倒すがその爆発で精神世界に飲まれ、幾つもの声が「過去を悔いるより未来へ目を向けろ」とアシュレイを誘う。しかしアシュレイは「過去を見つめて成長し、地に足をついて進歩する」という強靭な意志で「魔」の誘惑を跳ね除ける。そして妻子との再会を経て自分を信じる意志を固め、キャロの呼び声に導かれて現実に戻る。そのアシュレイの前に現れたのは、「魔」の権化と化し、異形へと成り果てたギルデンスターンだった。最後の死闘の末にアシュレイは勝利し、とうとうギルデンスターンは滅びる。
エピローグ
レアモンデは崩壊を始め、放牧されていた「魔」が消滅していく。アシュレイはシドニーを抱えて脱出しようとするが、もう余力はない。そんな彼の背中には、後継者の証である「血塗れの罪」がはっきりと刻まれていた。ハーディンは最後の力を振り絞ってキャロとジョシュアを脱出させ、二人に看取られながら死亡する。泣くジョシュアと彼を抱き止めるキャロの前に夜明けが訪れた。
一週間後、公爵別邸にアシュレイが訪れて公爵と面会する。しかしそれはシドニーが化けたものであった。全てが片付き、後はアシュレイに託したことを告げ、親子は抱擁を交わす。そしてシドニーは短刀で貫かれ、満ち足りた表情で消滅。公爵も後を追うように事切れた。アシュレイは公爵殺害の容疑者として手配されるが、外で公爵別邸を見上げていたアシュレイはキャロに化けて衛兵をやり過ごし、その場を後にする。
こうして「放浪者の物語」(ベイグラントストーリー)は始まるのだった。
舞台
事件の主な舞台となるレアモンデは、魔導師メレンカンプによって、古代キルティア時代と呼ばれていた2000年以上前に建てられた。そのキルティア時代の後、聖ヨクスが誕生。バレンディア王国に自らの教えを広めたため、この地は敬虔なヨクス教徒の聖地となった。街の中心に建つ大聖堂はレアモンデのシンボルとなり、修道士たちは地下のライムストーンを切り出して生活の糧としていた。
最盛期には5千人以上の人々が暮らしていたが、25年前の大地震により壊滅的な被害を受け、人々はこの地を去った。それ以来、この廃墟で奇妙な生き物や火の玉が見られるようになったと言う。
ヨクス教の聖地として名高い街だが、その教義に反するはずの「魔」と呼ばれる超常の力が都市空間に充満しているらしく、法王庁や議会がその力の謎を強く求めているとの噂も。
団体に関する用語
- 新バレンディア王国(しんバレンディアおうこく)
- ゲームに登場する架空の国で、王都はバルナイン。1500年ほど前に初代国王ナルザークにより「バレンディア王国」として建国。国教はヨクス教。専制君主制がとられていたが、34年前の内戦後、「新バレンディア王国」と名を改め議会制に移行した。
- バレンディア国家評議会(バレンディアこっかひょうぎかい)
- バレンディア王国の国政を行う機関。議会・元老院とも呼ばれる。議員は貴族・資本家など一部の富裕層で構成されている。
- バレンディア治安維持騎士団(バレンディアちあんいじきしだん)
- バレンディア国家評議会直属の機関で、略称はVKP(以下、VKPと略す)。最高責任者はリサイト長官。文字通り王国を揺るがす不穏分子の動きを抑えるための機関。重犯罪者処理班、情報処理班、対カルト班、監視班などで構成される。
- エージェント
- バレンディア治安維持騎士団に所属する人々の呼称。
- リスクブレイカー
- VKP内に存在する、重犯罪者処理班のエージェントを特に指す。「危険請負人」ともいう。現在でこそ法の番人とされているが、数年前までは国家公安のために反体制派の暗殺・破壊工作が認められていた。下される任務の性質上特に厳しい訓練が科され、現場では単独行動を原則とする。それ故に高い能力を誇る精鋭揃いだが、それでも任務からの生還率は芳しくない。
- ヨクス教(ヨクスきょう)
- 聖者ヨクスを開祖とする、架空の宗教。一神教である。バレンディア王国の国教となって数百年の歴史を持つ。その信仰を広めるため、ヨクス教成立以前には日常のものとして使われていた「魔」の力を異端視し排除する事で勢力を拡大していった歴史を持つ。
- 法王庁(ほうおうちょう)
- ヨクス教の最高機関。最高権力者はバドゥイズム法王。議会は最高権力者をバレンディア国王としているため、最近は議会と政治的に対立している。
- 聖印騎士団クリムゾンブレイド(せいいんきしだんクリムゾンブレイド)
- 法王庁直属の精鋭騎士団。団長はロメオ・ギルデンスターン。グレイランド事件には、メレンカンプ教団の殲滅と奇跡の確保を目的に介入して来た。バルドルバ公爵邸襲撃事件の鎮圧後はメレンカンプ教団を追うようにレアモンデに侵入、団長以下のほとんどが消息不明となる。
- コマンダー
- 聖印騎士団の団長の下に置かれる役職。各コマンダーは配下の騎士のリーダーとなる。
- メレンカンプ教団(メレンカンプきょうだん)
- レアモンデを拠点とする新興宗教。主宰者はシドニー・ロスタロット。公爵邸襲撃事件を始めとして様々なテロを引き起こすなど、その攻撃性が法王庁とVKPから敵視されているが、レアモンデへの潜入が困難なため、実態が掴めない。
出来事に関する用語
- バレンディア内戦(バレンディアないせん)
- 36年前にバレンディア王国で発生した、主権を巡っての摂政グルナス家とナルザーク王家の争い。国内を二派に分けての騒動となったが、2年後に終結した。内乱に際して王家側に付き、終結に尽力した英雄の一人がバルドルバ公爵。
- グレイランド事件(グレイランドじけん)
- バレンディア王国の貿易都市グレイランドで起きた、バルドルバ公爵邸占拠事件に始まりバルドルバ公爵殺害事件で終わる一連の事件の名称。謎が多く、ほとんどの容疑者・証人が行方不明であるため未解決。
- バルドルバ公爵邸占拠事件(バルドルバこうしゃくていせんきょじけん)
- メレンカンプ教団が、法王の退位と仲間の釈放を要求し、バルドルバ公爵の屋敷を占拠した事件。クリムゾンブレイドの突入によって鎮圧された。公爵本人は別邸にいたため無事だったが、2度の火災によって家族や使用人が犠牲となった。しかし実は、2度目の火災は公爵自身の指示によるものである。
- バルドルバ公爵殺害事件(バルドルバこうしゃくさつがいじけん)
- 公爵邸占拠事件から1週間後、別邸にてバルドルバ公爵が殺害された事件。事件直前別邸にて、アシュレイ・ライオットが目撃された後、行方不明となっている。
名称に関する用語
- グレイランド
- 一連のグレイランド事件の舞台となった新バレンディア王国の貿易都市。バルドルバ公爵が居を構える。
- レアモンデ
- 魔導師メレンカンプが建てたとされる架空の都市。街のシンボルである大聖堂は、太陽の光を浴びて七色に美しく変化する。また、街のあちこちにキルティア時代の文字が見られる。ワインとライムストーンの産地として有名だったが、多数の犠牲者が出た25年前の大地震以降、廃墟となってからは魔都と呼ばれる。この時の地震で生じたクレバスと渦潮によって外界から隔離され、地下通路は迷宮となってしまった。
- 魔(ま)
- ゲームに登場する、実体を持たない超常の力の総称。魔に関わる物の側にいるだけで、気付かないうちに感染する。強い魔に触れる機会が多いほど、魔力が強くなる。魔によって得られる力は様々で、モンスターの召喚や、遠見の能力、サイコメトリー、他人の視覚を共有するなどと言った形で顕れる。しかし何の能力が目覚めるかはその時にならないと分からない。強い魔力を持った者は、相手を瞬時に洗脳することもできる。しかし同時に病のように気付かぬうちに身体を侵していき、深く侵食された者は最終的に後述する「不完全な死」を迎えることになる。
- グリモア
- 魔導師メレンカンプが作ったとされる魔導書。古代伝承学に拠れば、読む事で魔法が使える様になる。中でも究極の魔法を記した魔導書は「グラン・グリモア」と呼ばれるが、どのような魔法なのか詳細は一切不明。
- 古代キルティア時代(こだいキルティアじだい)
- 魔導師メレンカンプが活躍していた時代。ヨクス教が誕生した頃には終わりを迎えていた。日常的に「魔」の力が使われていた時代でもあった。
- 不完全な死(ふかんぜんなし)
- ゲームに登場する考え方で、不死とも言う。特に魔に深く触れた者は、その代償として肉体は滅びても魂は生き続ける。魂だけの状態でこの世に取り残される事は苦痛であり、そうなった者は生者を羨み、魂を失った肉体を求めては入り込もうとする。その結果がゾンビである。
- 完全なる不死(かんぜんなるふし)
- ゲームに登場する考え方で、肉体も魂も滅びない。「魔」の力が否定された現在でも、それに魅せられる者は後を絶たない。
- ホーリーウィン
- ヨクス教のシンボル。「剣に二つ刃」の形。電源投入直後のタイトル画面の背景画。ゲーム中にも武器として登場する。
- 後継者(こうけいしゃ)
- 魔導師メレンカンプの後継者として、レアモンデとその「魔」の力を受け継ぐ者。認められる為には証となる「鍵」と生贄となる「魂(ファントム)」を用いて儀式を行わなければならない。継承が行われないまま現在の所有者が死亡すると、そこで系譜は途絶える事となる。
- 血塗れの罪(ちまみれのつみ)
- ヨクス教成立以前にも使われていた逆位置の聖印。ヨクス教が異端者と認めた者に入れ墨として刻まれたと言われる。どのような物か知らない人も多い。同じ名前の攻撃を繰り出すモンスターが登場する。
登場キャラクター
バレンディア治安維持騎士団
- アシュレイ・ライオット(Ashley Riot)
- 主人公。性別:男、年齢:20代後半、身長:181cm。VKP所属。公爵邸占拠事件の鎮圧に参加する腕利きリスクブレイカー(危険請負人)。元近衛騎士団所属でVKPのアカデミーを首席で卒業したエリート。妻のティアと息子のマーゴが殺された事をきっかけに近衛騎士団を辞しリスクブレイカーへ転身。常に冷静沈着なリアリストで、パートナーであるキャロとも必要以上のコミュニケーションを取ろうとしないなど、寡黙で無愛想な性格。この彼の体験を元にゲームは進められていく。レアモンデを調査していくうちに彼自身も知らない過去と素性が明らかになっていく。「魔」に触れる中で様々な能力に目覚める。ちなみに彼の特徴的な上着はスタッフやユーザーなどから「エプロン」と呼ばれることがある[5]。
- キャロ・メルローズ(Callo Merlose)
- 性別:女、年齢:23歳、身長:173cm。VKPの情報分析官。カルト教団や宗教的テロリズムの情報分析を専門としている。新米ながらも分析官らしく冷静な性格で、緊急事態に陥っても取り乱すことは少ないが良識も持ち合わせ、間違っていると思ったものには激しく抗議する一面も。的確な解析能力は他の分析官からも一目置かれている[4]。アシュレイのサポート役としてレアモンデに同行するが、実戦経験のなさ故に自身は潜入せず、アシュレイを見送る。しかしその直後、シドニーによって捕らわれ、人質として連行される。後に他者の心を読み取る能力が開花する。最後はシドニーとハーディンによって脱出させられ、ジョシュアと共に数少ないレアモンデからの生還者となるがアシュレイの生死は知る由もなく、ただ彼の無事を祈るしかなかった。
メレンカンプ教団
- シドニー・ロスタロット(Sydney Losstarot)
- 性別:男、年齢:20代後半、身長:178cm。カルト教団「メレンカンプ」の教祖[4]。教団を率いて公爵邸を襲撃・占拠した後、邸内で遭遇したアシュレイを挑発し誘い込むようにレアモンデに行方を眩ませる。存在感を放つカリスマで、他者の心の内を読む、初対面の人間の過去を言い当てる、相手の意識を自分の意のままに操る、他者に化ける、心臓を貫かれても死なないなど「魔」の扱いに最も長けた人物。しかし教団が追い詰められても意に介した様子を見せず、アシュレイの能力に合わせてモンスターを召喚しては彼の成長と「魔」の感染を促すなど不可解な行動を繰り返し、親友のハーディンにすら真意を明かさない。
- ジョン・ハーディン(John Hardin)
- 性別:男、年齢:29歳。メレンカンプ教団の幹部。国家保安庁に在籍していた経緯を持つ。シドニーの友人でもあり、公爵邸襲撃事件にも加わっている。一見粗暴に見える外見だが、非常に人間くさく温かな人柄で、人質のジョシュアに優しく接する。遠くで起きている出来事を直接視る「千里眼」のような能力を持つ。シドニーと共に公爵邸を襲撃し、逃亡の際にバルドルバ公爵の一人息子・ジョシュアを拉致してレアモンデに潜伏する[4]。国家保安庁時代、年の離れた病気の弟を養うために大金を要し、敵国の反体制派へ提供する武器を闇ルートに横流ししていた。それが露見すると、免責の代わりに仲間を売るように言われて応じるが約束は反故にされ、脱獄した時には弟は既に死んでいた。この経験から社会への復讐の為にメレンカンプに属し、また、ジョシュアに弟の面影を見出している。
- 真意を明かさないシドニーに不信感を抱きつつ[注釈 1]も、仲間として彼の指示に従い、キャロとジョシュアを連行し続けていたが、最終的にシドニーが「鍵」を既に手に入れていると知ってショックを受ける。しかし今生の別れの際には彼の真意を悟っていた。最後はギルデンスターンに致命傷を負わされながらもキャロとジョシュアを連れてレアモンデを脱出するが力尽き、初めて喋ったジョシュアに謝りながら息を引き取る。
聖印騎士団
- ロメオ・ギルデンスターン(Romeo Guildenstern)
- 性別:男、年齢:34歳、身長:179cm。法王庁直属の聖印騎士団「クリムゾンブレイド」の団長。アシュレイと同じくアカデミーを首席で卒業するほどの優秀さとその信仰心の篤さを買われ、現在の地位に抜擢された騎士。佇まいは洗練されているが、目的のためには如何なる手段も選ばない。あるものを手に入れるためにシドニーを追ってレアモンデに突入する[4]。神に仕える身でありながら邪教の力である「魔」を使いこなす。
- サマンサ(Samantha)
- クリムゾンブレイドのコマンダーを務める美女で、ギルデンスターンとは恋仲。レアモンデ突入作戦部隊に加わっている。聖印騎士団においては一般的な感覚の持ち主であり、「魔」の存在にも恐怖を感じているが、自身も「魔」に触れたことで他者の五感に「リンク」することでその者に起きた出来事をダイレクトに体験・知覚する能力に目覚める。恋人のギルデンスターンを信じて行動を共にし続けていたが、クライマックスではギルデンスターンに刺され、「本当に結びついた魂」として生贄に捧げられるという最期を迎える。
- デュエイン
- クリムゾンブレイド所属の神官。グリッソムの兄。神官という立場ながらレアモンデ突入作戦に志願した。態度は尊大だが、指揮官としての統率力はある。アシュレイがレアモンデ市街地に入って間もなく遭遇し、「VKPの殺し屋には不完全な死で十分だ」と言って襲い掛かるも、敗死する。
- グリッソム
- クリムゾンブレイド所属の神官。デュエインの弟。彼もまた兄と同じく、レアモンデ突入作戦に志願したひとり。言葉遣いこそ丁寧だが、刃物のような冷徹さを持つ。デュエインの仇であるアシュレイを付け狙うが、やがてシドニーに対抗するべく分不相応の召喚術を実行したことで「魔」に喰われる。しかしそれでも起き上がり、強力なモンスター「ダーククルセイダー」を召喚し、丁度現れたアシュレイにも戦いを挑む。この戦闘のみ、シドニーと協力して戦う[注釈 2]。
- 敗死後は不完全な死によって魂は現世に留まり、他の例のように肉体に入り込むそれは不運にも自分の死体であり、本当の意味での生ける屍と化してしまう。その事実に絶望した直後、レアモンデの「魔」の囁きによって正気を失い、かつての仲間に襲い掛かるようになる。エンディングでは完全に自我を無くし、ティーガーと対峙していた。
- ティーガー
- クリムゾンブレイドのコマンダー。ヘヴィアクスを軽々と扱う鍛え上げた身体を持つ。戦士としての高潔さを持ち合わせ、非道な振る舞いに手を染めることはない。ニーチと行動を共にしている。仲間意識も強く、騎士団員を何人も倒したアシュレイに敵討ちとして挑んでくる。エンディングでは崩壊するレアモンデからニーチを逃し、自身は死を覚悟の上でグリッソムと対峙した。
- ニーチ
- クリムゾンブレイドのコマンダー。髪を後ろでまとめた長身の女性で、ヘヴィメイスが得物。さばさばとした性格。ティーガーとは気が合い、行動を共にする。アシュレイにもティーガーと二人掛かりで挑むが敗北して逃走する。エンディングではティーガーに生き証人としての義務を託され、やむなく一人で脱出を目指すがその後の生死は不明。
- 聖印騎士
- ここではクリムゾンブレイドの騎士のうち、名前のついている騎士のみの説明とする。
- サックハイムとグッドウィン
- ワイン貯蔵庫の見張りをする新米騎士。
- マンデル
- アシュレイの目前で息を引き取り、ゾンビとなった騎士。
- ベジャール と サージク
- レアモンデを流れるティコラス川でデュエインとともに現れる騎士。
その他の人物
- ジャン・ローゼンクランツ(Jan Rosencrantz)
- 性別:男、年齢:20代後半。VKPから派遣された「リスクブレイカー」を自称し、単特行動を原則とするはずのリスクブレイカーをサポートする者と嘯いてアシュレイの行く先々に現れる男。唇のピアスや体中に張り巡らしたワイヤーなどの服装が目を引く。「魔」を無効化する特異能力を持つ。魔都レアモンデに関してアシュレイよりも豊富な知識を持っている[4]。『FFT』のガフガリオン同様に「ン」の発音に特徴のある喋り方をする。
- 実は免職された"元"リスクブレイカー。本人曰く、アシュレイの元同僚であり、彼と同じくVKPに拾われた後はメレンカンプの内定調査を行っていたがその際にレアモンデのことを知り、その力を得てのし上がるべく公爵、メレンカンプ、クリムゾンブレイドと、複数の勢力に加担・利用している。他人を利用し、その時々の利益で動く様をギルデンスターンには「娼婦」「生まれながらのゲス」と罵られる[注釈 3]。しかし実は「魔」を無効化する能力はシドニーが敢えてそう思わせていただけであり、最後は本気を出したシドニーに惑わされた挙句に邪神像「カーリー」に斬られて死亡した。
- バルドルバ公爵 / アルドゥス・バイロン・バルドルバ(Aldous Byron Bardorba)
- 性別:男、年齢:64歳、身長:175cm。30数年前に起きたバレンディア王国の内乱終結に多大な功を挙げた、新バレンディア王国の重鎮。現在は健康上の理由から引退したものの、議会に対する発言力は未だ強い。メレンカンプ教団を支援しているという噂もある。グレイランド事件で殺害される。
- ジョシュア・バルドルバ(Joshua Bardorba)
- 性別:男、年齢:4歳。バルドルバ公爵の一人息子。公爵邸襲撃事件発生当時、メレンカンプ教団の人質となりハーディンに[4]誘拐されてしまう。そのショックからか口がきけなくなっているが、自らを拉致したハーディンに懐いている。最後はハーディンに連れられてレアモンデから生還。死に際のハーディンに対して初めて口を開くが、その願いも虚しくハーディンは息を引き取る。
- メレンカンプ
- 2000年以上昔、バレンディア王国も成立していない時代に実在したと言われる伝説の女魔導師。城塞都市レアモンデを建設し、魔導書グリモアを作成したと伝えられる。ゲーム起動直後のデモムービーでベリーダンスを踊っている女性。
- アラズラム・J・デュライ
- オープニングで哲学的な文章を述べる架空の人物。本編には登場しない。
メインスタッフ
評価
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GameRankings、Metacriticの集計ではどちらも90%越えの「普遍的な賞賛」を受け[6][7]、ファミ通のクロスレビューにてPlayStationで唯一40点満点を獲得している[10]。GameRankingsではPSソフトの中で15番目に優れたゲームとしてランク付けしている[6]。
IGNはストーリーと演出が「『メタルギアソリッド』に匹敵する」とし、大作映画より優れたストーリーと見事な映像表現が相まって、「PSで体験できる最高のゲーム体験の一つ」と賞賛。オープニングの5分間を「ビデオゲーム屈指」の出来栄えと称し、他にもゲームシステムを「奥深い」と評価し、グラフィックを「PSで最も視覚的に美しいゲームの一つ」と称えた[14]。GameSpotは「比較的短いゲームではあるものの、その奥深さと濃密さ、そしてストーリーとゲームプレイの充実度は、多くの長編ゲームにはない独特の緊張感を生み出している」と評し、ストーリーや戦闘システムを賞賛した[12]。
PSX Extremeは「環境描写は賞賛に値する。美しくライティングされた背景が、暗く陰鬱な雰囲気を際立たせている」として本作の映像表現を「PSの限界を再び押し上げることに成功した」「PS史上最高のビジュアルゲームの一つ」と称賛[17]。音楽もそれまでのスクウェアの定番とは一線を画す出来と称賛されており、環境音、効果音などの音響効果も含めて高く評価された[14][12]。
一方、ゲームシステムの複雑さは批判されており、GameSpotは「複雑すぎるほどで、熟練者でさえ特定の敵に苦労する」「根幹となる概念が時折矛盾しているだけでなく、インターフェースの不備も事態を複雑にしている」とし、説明書も役に立たないと指摘している。IGNもゲームバランスについて問題として挙げ、セーブポイントが少ない点も問題を悪化させていると綴っている。1UP.comは武器のカスタマイズ性の幅広さに反してボスは一部の攻撃しか有効ではない点など挙げ、「マニアにとっては素晴らしいことだが、それほど熱心でないプレイヤーにとっては、かなり厄介な障害」と指摘し、魅力の差が生じているとしている[18]。また、リスクが高いと一発でいきなりゲームオーバーになったり、敵へのダメージ予測が0という状態に心が折れるプレイヤーもいるなど、難易度の高さも取り沙汰されており、批評家からの評価は高かった本作だが、これらの理由により当時のユーザーからは賛否両論であった[19][20]。
後年でも、時代を先取りした演出、美術センス、完成度の高さは評価され、1UPは「魂を揺さぶる、ハイレベルなロールプレイング」「過去を振り返りつつ、未来を見据える作品」とし[18]、GameWatchは難易度を論いつつも「時代を先取りしたような演出の数々には舌を巻く」「シナリオだけでも一見の価値がある」と綴り[19]、ゲームシステムに関してもファミ通は「理解が進むとなかなかに味のあるシステムで、ハマる人はとことんハマる」と評している[20]。
売上
2000年5月のPSタイトルの売上ランキングでは5位となり、同じスクウェア作品の『ファイナルファンタジーIX』『クロノ・クロス』『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』『パラサイト・イヴ2』などの有名作の影に隠れていた[14]にもかかわらず、20日で10万本を売り上げている[21]。 2000年末には日本で30万本[22]、2016年4月時点では全世界で87万本を売り上げた[23]。
イヴァリースとの関連性
本作およびイヴァリースサーガの著者である松野泰己のtwitterでの発言(削除済み)では「ベイグラはそもそもイヴァリースの世界ではない。ただ、いくつか入れたお遊び(アグリアスの口紅等)のせいでプレイヤーさんがイヴァリースだと考え、更に、FF12のプロモーション(海外向け)の都合で一緒にしちゃえという話になり仲間入り>前廣くん。」(原文ママ)とのこと。それ以前に固有名詞等が共通であることから蓋然性を持って推測されていた事に加え、以下の様に著作権を保有するスクウェア・エニックスのスタッフに拠る仄めかしが存在する。
ゲーム中にはイヴァリースという単語は登場しないが、後にイヴァリースアライアンスとして括られた『ファイナルファンタジータクティクスアドバンス』や『ファイナルファンタジーXII』では本作品中の固有名詞が登場した。『ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング』ではパンネロがOPの女性と似た衣装を着ているほか、『ファイナルファンタジーXII アルティマニアΩ』でもイヴァリースのどこかを舞台とする作品と紹介されたため、本作がイヴァリースの関連作品である可能性は示唆されている[24]。 ちなみに、『ファイナルファンタジーXII』に登場する召喚獣「ザルエラ」は、右の翼に巫女を融合させた死神の様な姿をしているが、この元ネタは本作に登場するロメオ・ギルデンスターンとサマンサであるという[25]。
『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』発売の際、河津秋敏は本作のアシュレイについて、『ベイグラントストーリー』でさえ多くは語られていないため他のイヴァリース作品に登場させるのは難しい、と述べている[26]。
関連商品
書籍
- 『ベイグラントストーリー 最速攻略本 for beginners』
- 出版:株式会社デジキューブ ISBN 4-925075-74-8
- 基礎的な情報の記載に留まっている、攻略本と言うよりはガイドブックの趣が強い本。
- ファミ通責任編集 『ベイグラントストーリー完全ガイドブック 〜アシュレイ追跡調査報告書〜』
- 発売:株式会社アスペクト ISBN 4-7572-0754-9
- 終盤に登場するマップが記載されておらず、ゲームに登場しない第三者の目線でストーリーが概説されているため少々解り辛い。
- スタジオベントスタッフ著 『ベイグラントストーリー アルティマニア』
- 出版:株式会社デジキューブ ISBN 4-925075-75-6
- やり込みを含めた様々なゲーム攻略情報のほか、ゲームの世界背景などを詳解した設定資料や開発者へのインタビュー、ベニー松山によるノベライズなどが収録されている。
- デジキューブ版アルティマニアは現在絶版だが、スクウェア・エニックスよりほぼ同内容の『アルティマニア』が発売されている。
CD・その他のグッズ
- 『ベイグラントストーリーオリジナル・サウンドトラック』(発売:デジキューブ)
- 2枚組、劇中に使用されたBGM全55曲を収録。リミックスバージョンもボーナス・トラックとして2曲収録。
ほか、ゲーム発売後に関連商品としてジッポーライター、シルバーネックレス、Tシャツ、キーホルダー、マネークリップ、カードケース等が販売された。また甲州ワインの製造会社と提携し、レアモンデ産ワインを販売していた。
脚注
注釈
出典
- 1 2 『ベイグラントストーリー アルティマニア』p487
- ↑ 開発スタッフの談。
- 1 2 『電撃王』メディアワークス、2000年3月1日、10,11,頁。
- 1 2 3 4 5 6 7 『ファミ通 No.581』アスキー、2000年2月4日、76,77,78,79,頁。
- ↑ 『ベイグラントストーリー アルティマニア』p25
- 1 2 3 “Vagrant Story for PlayStation”. GameRankings. CBS Interactive. 2019年12月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月26日閲覧。
- 1 2 “Vagrant Story for PlayStation Reviews”. Metacritic. CBS Interactive. 2015年1月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月26日閲覧。
- ↑ “Vagrant Story - Overview”. オールゲーム. 2014年11月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月26日閲覧。
- ↑ Johnston, Chris; MacDonald, Mark; Sewart, Greg (2000年6月). “Vagrant Story”. エレクトロニック・ゲーミング・マンスリー (131): 168.
- 1 2 “Famitsu Awards New Super Mario Bros. Wii A Perfect Score”. kotaku. 2010年1月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月26日閲覧。
- ↑ “Vagrant Story - PlayStation”. ゲーム・インフォーマー (2000年6月26日). 2026年6月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月26日閲覧。
- 1 2 3 “Vagrant Story Review”. GameSpot (2000年2月15日). 2026年6月26日閲覧。
- ↑ “R.I.P. PlayStation: The best of 1995-2001”. Hyper (90 (2001年4月号)): 44–51. (2001年2月28日).
- 1 2 3 4 Zdyrko, David (2000年5月22日). “Vagrant Story”. IGN. 2026年6月26日閲覧。
- ↑ Bratcher, Eric (June 2000). “Finals”. Next Generation 3 (6): 101.
- ↑ Rybicki, Joe (2000年6月). “Vagrant Story”. Official U.S. PlayStation Magazine 3 (9): 100.
- 1 2 SolidSnake (2000年). “Vagrant Story: Review”. PSXExtreme.com. 2007年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月26日閲覧。
- 1 2 “Vagrant Story”. 1UP.com (2000年1月1日). 2007年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月26日閲覧。
- 1 2 “ベイグラントストーリー」25周年! 高難易度ながら、グラフィック・バトル・音楽など当時の最高技術を結集させたRPGアドベンチャー”. GameWatch (2025年2月10日). 2026年6月26日閲覧。
- 1 2 “『ベイグラントストーリー』が発売された日。『FFT』のスタッフが手掛けたPS後期の作品。緻密なグラフィックに息を呑んだ【今日は何の日?】”. ファミ通.com (2026年2月10日). 2026年6月26日閲覧。
- ↑ “Square's Summer Lineup off to a Hot Start”. IGN. 2026年6月26日閲覧。
- ↑ “2000 Top 30 Best Selling Japanese Console Games”. The Magic Box. 2020年7月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月26日閲覧。
- ↑ “Vagrant Story for PlayStation - Sales, Wiki, Release Dates, Review, Cheats, Walkthrough”. VGChartz. 2026年6月26日閲覧。
- ↑ 『ファイナルファンタジーXII アルティマニアΩ』p146
- ↑ 『ファイナルファンタジーXII バトルアルティマニア』p577
- ↑ Mielke, James (2007年9月10日). “Square Enix Talks about the Ivalice Alliance”. 1Up.com. 2007年10月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月26日閲覧。
参考文献
- スタジオベントスタッフ著 『ベイグラントストーリー アルティマニア』出版:株式会社デジキューブ ISBN 4-925075-75-6
関連項目
- ファイナルファンタジータクティクス
- ファイナルファンタジータクティクスアドバンス
- ファイナルファンタジーXII
- 上記三作はスタッフが一部共通しており、アイテムの名称や地名などに共通のものが数多く見られる。同じ世界の別の時間軸の物語とされているが、ストーリーの関連性はない。
- イヴァリース
- サンテミリオン - 舞台となる都市レアモンデのモデル(『ベイグラントストーリー アルティマニア』p41より)。ワインの産地。
- モン・サン=ミシェル - レアモンデの中心に建つ大聖堂のモデル。カトリック教徒の巡礼地。
外部リンク
- ベイグラントストーリー - スクウェア・エニックス
- ゲームアーカイブス版 - ウェイバックマシン(2017年5月12日アーカイブ分)