ヴァン・ディマンズ・ランド
| 「ヴァン・ディマンズ・ランド」 | |
|---|---|
| U2の楽曲 | |
| 初出アルバム『魂の叫び』 | |
| 英語名 | Van Diemen's Land |
| リリース | 1988年10月10日 |
| 録音 | 1988年 |
| ジャンル | フォーク |
| 時間 | 3分05秒 |
| レーベル | アイランド・レコード |
| 作詞・作曲 | ジ・エッジ |
| 作曲 | U2 |
| プロデュース | ジミー・アイオヴィン |
『ヴァン・ディマンズ・ランド』(Van Diemen's Land)は、アイルランドのロックバンド、U2の楽曲である。1988年に発表された6枚目のアルバム『魂の叫び』(Rattle and Hum)の2曲目に収録されている。
この楽曲は、U2の楽曲としては珍しく、ギタリストであるジ・エッジが単独で作詞・作曲を手掛け、自らリード・ボーカルを務めているアコースティック・フォーク・バラードである。タイトルの「ヴァン・ディマンズ・ランド」とは、オーストラリアのタスマニア州がかつてイギリスの過酷な流刑地として使用されていた時代の旧称である。
解説

ジ・エッジによれば、この曲のきっかけとなったのは、1980年代に妻のアリスリンと子供たちを連れてミース県のボイン川流域を訪れた際、ジョン・ボイル・オライリーを記念する銘板を目にしたことであった。ニューグレンジ、ノウス、ドウスなどの巨石遺跡を見て回っていた際、18世紀に建てられた孤児院の跡地にオライリーを記念する銘板を発見し、そこに記された彼の生涯に興味を持ったという[1]。
オライリーはアイルランドのフェニアン運動に関わった詩人・ジャーナリストで、イギリス政府によって逮捕された後、オーストラリアへの流刑を宣告された人物である。ジ・エッジは彼についてさらに調べた結果、オライリーがヴァン・ディーメンズ・ランド(タスマニア島)へ送られ、その後脱出してアメリカへ渡り、ボストンで新聞編集者として活動したことを知った。ジ・エッジはオライリーを、社会的不正義に抗議するために個人的な犠牲を払った「初期の社会活動家」と捉え、その生涯から強いインスピレーションを受けたと語っている[1]。
ジ・エッジは、当初から自分が歌うつもりで書いたわけではなく、「ほとんど練習のようなつもり」でこの曲を書いたと説明している。その後、自身がボーカルを担当することになり、U2の作品としては数少ないジ・エッジ単独のリード・ボーカル曲となった[1]。
レコーディングは、U2がリハーサルを行っていたダブリンのポイント・デポで行われた。映画『U2/魂の叫び』にも収録され、映画ではジ・エッジが一人で演奏する場面として描かれいる[2]。メロディーは、アイルランドの伝統的な楽曲「The River is Wide」をもとにしている[3]。
タスマニア公演をめぐるエピソード
「ヴァン・ディマンズ・ランド」を聴いたオーストラリア・タスマニア州のU2ファン、ジョン・ベンダーは、同曲がタスマニア島の旧称を題名としていることに興味を持ち、U2のタスマニア公演を実現させようと考えた。ベンダーは同曲が献辞を捧げているジョン・ボイル・オライリーについて調査し、彼が実際にはヴァン・ディマンズ・ランド(タスマニア)ではなく、西オーストラリアのフリーマントルに流刑となったことを知った[4]。
ベンダーは調査で得た資料をU2のマネジメント会社プリンシパル・マネジメントに送り、タスマニアでの公演を実現するようファックスで働きかけた。さらに、通常のコンサートが難しい場合には、旧刑務所跡で知られるポート・アーサーでの小規模なアンプラグド・ライブを提案するなど、タスマニア公演の具体的な構想を伝えた。U2側からはファックスを受け取った旨の返答があり、その後もベンダーはタスマニアに関する資料を送ったほか、U2のツアー関係者とも公演の可能性について話し合った[4]。
最終的にU2のタスマニア公演は実現しなかったが、ベンダーはメルボルン公演のバックステージ・パスを提供され、U2のマネージャーであるポール・マクギネスと面会した。マクギネスはベンダーのファックスによる働きかけを把握しており、U2側でもタスマニア公演について検討したものの、スケジュール上の都合から実現できなかったと説明したという[4]。
脚注
出典
- 1 2 3 “The Edge reflection questions & episode transcript” (英語). Squarespace. 2026年8月11日閲覧。
- ↑ Stokes 1996, p. 80.
- ↑ Songfacts. “Van Diemen's Land by U2 - Songfacts” (英語). www.songfacts.com. 2026年8月11日閲覧。
- 1 2 3 “Me and U2” (英語). Scribd Inc. 2026年8月11日閲覧。
参考文献
- U2 著、前むつみ,久保田祐子 訳『U2 BY U2』シンコーミュージックエンタテイメント、2006年。ISBN 978-4401630417。
- Stokes, Nail (1996). Into the Heart: The Stories Behind Every U2 Song. Omnibus Press