五書

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モーセ五書

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
(五書から転送)
律法/トーラー
תּוֹרָה שֶׁבִּכְתָב
(成文トーラー)
律法の巻物
基本情報
宗教 ユダヤ教(ヘブライ語聖書・成文律法)
キリスト教(旧約聖書・モーセ五書)
イスラム教(啓典・タウラート(英語版))
作者 モーセ(伝承)
古代の資料をもとにした合成文書(高等批評)
言語 ヘブライ語
時期 モーセの時代(伝承)
数世紀にわたる編集(高等批評)
章節 5巻
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モーセ五書(モーセごしょ、英: Pentateuch)は、ヘブライ語聖書(旧約聖書)の最初の5つの書物、創世記・出エジプト記・レビ記・民数記・申命記の総称である。ユダヤ教的な文脈ではトーラー(ヘブライ語: תורה, Torah)とも呼ばれる。モーゼの五書、律法(りっぽう)とも呼ばれる。口伝律法との対比を強調する文脈では成文律法と呼ばれる。

名称・意味

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ヘブライ語で「トーラー」は、教え、導きという意味である。紀元前3世紀にプトレマイオス2世の命で七十人訳聖書がヘブライ語からギリシア語に翻訳された際に、アレクサンドリアのレビ族の書記官たちが「ノモイ」(法・律法)の訳語を充てた。

また、ユダヤ教本流[1]のラビ・ユダヤ教及びラビ文学などの伝統では、成文律法(モーセ五書)と口伝律法という考え方があり、双方を含めて「トーラー」と呼び神聖で不可欠なものとみなす[2][3]。なお、口伝律法を認めず、成文律法のみを認めるサドカイ派やカライ派などの立場も存在するが、前者は紀元70年のエルサレム神殿の崩壊とともに消滅し、後者は少数派である[4]。

著者

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こららの書物は、タルムードやミシュナなどの伝統的見解によれば、モーセの死と埋葬を記述した一部の箇所をヨシュアが記したことを除いて、モーセによって書かれた[5]。神が荒野の四十年にわたってモーセを通してイスラエル全体にトーラーを示し、モーセは全ての出来事を書記として口述筆記したとされる[6]。

反対に、近代以降の聖書学の学術的共通見解ではモーセ単独著者説が否定され、複数の編集者の手によって、数世紀を経て文書が形成されていったと考えられている[7]。しかしその正確な過程や年代については諸説あり、21世紀でも議論が続いている。

文書仮説では異なる時代の合成文書であるという仮説が立てられる。ただし、保守的なキリスト教会と学者は今日もモーセ記者説を支持している[8][9]。また正教会における註解書には、こうした学説の対立に触れず、「伝統的に」モーセが著者であるとされているという記述にとどめているものもある[10]。

モーセ五書一覧

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ヘブライ語のモーセ五書それぞれのタイトルは、それぞれ最初の文の中から選ばれた文節である。「בראשית」(創世記)は1番目の文節、「שמות」出エジプト記は2番目の文節、「ויקרא」レビ記は1番目の文節、「במדבר」民数記は5番目の文節、「דברים」申命記は2番目の文節から冠詞を除いた言葉が、それぞれの書のタイトルである。[注釈 1]

ユダヤ教

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ケルンのグロッケンガッセ・シナゴーグのトーラー(羊皮紙に手書き)

キリスト教

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区分

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キリスト教において律法は、道徳律法、司法律法、儀式律法にわけられ、儀式律法は神殿の崩壊(ディアスポラ)以降不可能になったものがある[16]。

エルサレム聖書(1966)の編集者は、五書を伝統的な順序で読むことを基本としつつ、レビ記はエゼキエル書の最後の章又はエズラ記=ネヘミヤ記と、申命記はエレミヤ書と併せて読むことも有益であると示唆している[17]。

イスラム教

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イスラム教においても啓典のひとつとして扱われ、「タウラート」と呼ばれている[18]。ただし、今日のトーラーや旧約聖書にあるものとは完全に同一ではない[19]。

脚注

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注釈

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  1. ↑ そして、それら五つのタイトルが並ぶと「初めに荒野で呼ばれた名は言葉」という意味を成す。そのため、ヘブライ語の律法を読誦する際は、現行の法律や契約書の様式にも取り入れられている読み替えを行い、「言葉」から「名」に、あるいは「名」から「言葉」に読み替えて意に留める。例えば文中に綴られた「かかと」の「言葉」を音読すると同時に、その言葉が「ヤコブ」という「名」に由来することを意に留めるのである。[要出典]

出典

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  1. ↑ Britannica Editors. "Rabbinic Judaism". Encyclopedia Britannica, 19 Feb. 2025, Accessed 21 September 2026.
  2. ↑ Scherman, Nosson, ed. (2001). Tanakh, Vol. I, The Torah (Stone ed.). New York: Mesorah Publications, Ltd. pp. 164–165, Exodus 12:49.
  3. ↑ Birnbaum, Philip (1979). Encyclopedia of Jewish Concepts. Wadsworth. p. 630.
  4. ↑ Isabel Kershner, "New Generation of Jewish Sect Takes Up Struggle to Protect Place in Modern Israel", The New York Times, 4 September 2013.
  5. ↑ Bava Basra 14b
  6. ↑ Language of Maimonides, Commentary on the Mishnah, Sanhedrin 10:1
  7. ↑ McDermott, John J. (2002). Reading the Pentateuch: a historical introduction. Pauline Press. ISBN 978-0-8091-4082-4. Retrieved 2010-10-03. p. 21.
  8. ↑ 尾山令仁『聖書の権威』羊群社
  9. ↑ ヘンリー・シーセン『組織神学』聖書図書刊行会
  10. ↑ "Orthodox Study Bible" (正教聖書註解) P. 1, 65, 117, 160, 210 (2008年)
  11. ↑ 英: in the beginning、ヘブライ語対訳英語聖書 Genesis 1:1
  12. ↑ 英: are the names、ヘブライ語対訳英語聖書 Exodus 1:1
  13. ↑ 英: called、ヘブライ語対訳英語聖書 Leviticus 1:1
  14. ↑ 英: the wilderness、ヘブライ語対訳英語聖書 Numbers 1:1
  15. ↑ 英: the words、ヘブライ語対訳英語聖書 Deuteronomy 1:1
  16. ↑ D・M・ロイドジョンズ『山上の説教』「律法と預言者を成就するキリスト」聖書図書刊行会(いのちのことば社再刊)
  17. ↑ Jerusalem Bible (1966), Introduction to the Pentateuch, p. 14, London: Darton, Longman & Todd Ltd and Doubleday and Co. Inc.
  18. ↑ “Holy books - God and authority in Islam - GCSE Religious Studies Revision - Edexcel - BBC Bitesize”. 2021年8月9日閲覧。
  19. ↑ “諸啓典への信仰 - イスラームという宗教”. 2021年8月9日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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