小林茂雄
小林 茂雄(こばやし しげお)は、日本の建築環境工学研究者。東京都市大学建築都市デザイン学部建築学科教授。博士(工学)。建築および都市空間の光環境、環境心理学、都市照明、夜間景観、照明を活用したまちづくりなどを研究分野とする。建築空間や街路における人間の心理・行動と光環境の関係について研究し、地域住民や自治体と協働した照明社会実験、都市景観の形成、防災照明の計画などに取り組んでいる[1][2]。
経歴
1968年、兵庫県神戸市に生まれる。1987年、兵庫県立兵庫高等学校を卒業。1991年、東京工業大学工学部建築学科を卒業し、1993年、同大学大学院総合理工学研究科社会開発工学専攻修士課程を修了した。1993年、東京工業大学大学院総合理工学研究科助手。1998年、東京工業大学より博士(工学)の学位を取得した。2000年、武蔵工業大学工学部建築学科講師に就任。2003年、同大学准教授となる。2004年から2005年にかけて、ネバダ大学ラスベガス校客員研究員を務めた。2011年、東京都市大学教授に就任した[2]。
研究・活動
建築・都市の光環境と環境心理
建築空間や都市空間における光環境と人間の心理・行動との関係を研究している。研究対象には、建築内部の照明環境、街路の夜間景観、住宅周辺の光環境、都市空間における視認性や空間認知、災害時の避難誘導などが含まれる[1]。これらの研究では、照度などの物理的な照明条件に加え、人間の視覚認知や行動、周囲の人の気配、空間の特徴といった要素との関係を扱っている[2]。
都市照明・ライティング・アーバニズム
都市照明の研究では、街路や建築物、公共空間などを対象に、夜間の視認性や空間認知、景観形成、歩行者の行動などを考慮した光環境の計画に取り組んでいる。また、地域の建築物、自然環境、生活空間などの特徴を光によって表現する夜間景観形成を研究し、各地で照明社会実験を実施している[3]。
まちづくりと夜間景観形成、まちあかり
東京都立川市
2013年、東京都立川市の諏訪通り商店街において、地域住民、商店街、立川市と協力し、夜間景観の改善を目的とした照明社会実験に取り組んだ。この実験では、既存の街路灯を一時的に消灯し、歩行者の視点に合わせた小型照明や建築物の照明を設置することで、地域の特徴や人の気配が感じられる夜間景観の形成を検討した。実験は、立川市と東京都市大学建築学科の協力のもと、地域住民と研究室の学生らが参加して行われた[4][5]。
山形県金山町
山形県金山町では、地域の歴史的な建築物、住宅、店舗、道路、水路、樹木などを対象とした夜間景観形成に取り組んだ。小林研究室は金山町と協働し、公共空間だけでなく住宅や店舗などの民有地を含めた照明計画を実施した。照明の配置によって、地域の歴史や自然、生活の気配を夜間にも感じられる景観形成を検討した[3]。これらの活動を含む「山形県金山町の夜間景観づくり」は、2020年度都市景観大賞の景観まちづくり活動・教育部門において優秀賞を受賞した。受賞活動の応募者は山形県金山町および東京都市大学建築学科小林研究室である[6]。
レジリエント照明、防災照明と復興まちづくり
東日本大震災後の被災地域において、夜間の避難誘導や地域景観の形成を目的とした照明計画の研究・実践に携わっている。岩手県釜石市や宮城県気仙沼市などを対象に、災害時の避難方向の認識や歩行者の安全性、地域の夜間景観を考慮したレジリエント照明、光環境について研究している[2]。
気仙沼復興照明計画
宮城県気仙沼市では、東日本大震災からの復興に伴う都市照明計画に参加した。「気仙沼復興照明計画」は、防潮堤、公園、道路、商業施設、住宅など、複数の公共・民間空間を対象として、地域全体である、レジリエント照明の光環境を整備する事業である。小林は同計画の設計協力者として、照明社会実験の実施および照明性能設計の検証に携わった。同計画は2025年度土木学会デザイン賞の優秀賞を受賞した[7]。
照明方式の環境照明史
建築空間における照明方式の環境照明史の変化についても研究している。2025年には、鈴木風薫、角舘政英との共著で「『新建築 住宅特集』に見る住宅照明の変遷」を発表した。この研究では、建築専門誌『新建築 住宅特集』に掲載された住宅事例を対象に、住宅の照明方式の変遷を分析し、ダウンライトやペンダントライトなどの使用傾向と照明技術の変化との関係を検討した[8]。
受賞歴
主な論文・著作
- 小林茂雄「人の行為を軸とした建築環境の評価に関する研究」『建築雑誌』第125巻、第1607号、2010年、46頁。
- 小林茂雄、髙橋沙季、吉田有里「山形県金山町における住宅・道路混在型の夜間景観形成」『照明学会誌』第102巻、第10号、2018年、459-463頁。DOI:10.2150/jieij.180000571
- 小林茂雄、鈴木風薫、角舘政英「『新建築 住宅特集』に見る住宅照明の変遷」『住まいとでんき』第37巻、第5号、2025年、22-26頁。
脚注
- 1 2 “小林 茂雄”. 東京都市大学 研究者情報データベース. 東京都市大学. 2026年9月21日閲覧。
- 1 2 3 4 “小林茂雄 Profile”. 小林研究室. 東京都市大学小林研究室. 2026年9月21日閲覧。
- 1 2 小林茂雄、髙橋沙季、吉田有里 (2018). “山形県金山町における住宅・道路混在型の夜間景観形成”. 照明学会誌 102 (10): 459-463. doi:10.2150/jieij.180000571.
- ↑ “「立川らしい夜間景観を」-立川駅南口・諏訪通り商店街で照明実験”. 立川経済新聞. 2013年11月21日. 2026年9月21日閲覧.
- ↑ “景観啓発”. 立川市. 2026年9月21日閲覧。
- 1 2 “令和2年度 受賞地区・受賞活動”. 都市づくりパブリックデザインセンター. 2026年9月21日閲覧。
- 1 2 “気仙沼復興照明計画”. 土木学会デザイン賞. 土木学会景観・デザイン委員会. 2026年9月21日閲覧。
- ↑ 小林茂雄、鈴木風薫、角舘政英 (2025). “『新建築 住宅特集』に見る住宅照明の変遷”. 住まいとでんき 37 (5): 22-26.
- ↑ “小林 茂雄”. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター. 科学技術振興機構. 2026年9月21日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 小林茂雄 - 東京都市大学 研究者情報データベース
- 東京都市大学 小林研究室
- 小林茂雄 - J-GLOBAL
- 小林茂雄 - KAKEN 科学研究費助成事業データベース