清武の乱

ウィキペディアから、無料の百科事典

清武の乱(きよたけのらん)は、2011年(平成23年)11月11日に発生した日本プロ野球・読売ジャイアンツ(巨人)の運営会社である株式会社読売巨人軍の球団代表・清武英利による、同社取締役会長である渡邉恒雄への告発に関する問題である。

清武はこの問題を理由に、同月18日付けで読売巨人軍における全役職を解任されている。

経緯

2011年のシーズン終了

読売ジャイアンツは2011年(平成23年)におけるセントラル・リーグにおいて71勝62敗11分の成績を残して首位だった中日ドラゴンズから3.5ゲーム差の3位で終えたが、同年のクライマックスシリーズファーストステージ(対東京ヤクルトスワローズ戦)に挑むも1勝2敗で敗退したため、同年の公式戦は10月31日で終了していた。同年11月4日に読売巨人軍取締役会長(親会社の読売新聞グループ本社代表取締役主筆)の渡邉恒雄は来季のコーチ人事について「オレに報告も無しに勝手にコーチの人事や何かを弄るとか、そんな事有り得るのかね」と語り[1]、巨人は11月7日に宮崎県での秋季キャンプを行っていた[2]。

清武による告発会見

2011年(平成23年)11月11日、読売巨人軍取締役球団代表(読売新聞グループ本社局次長待遇出向)の清武英利が文部科学省記者クラブで弁護士の吉峯啓晴を伴い、「読売巨人軍のコンプライアンス上の重大な件」と題した記者会見を開く。記者会見で清武は、巨人の来季のヘッドコーチ人事を巡って取締役会長の渡邉が不当に介入していると述べ、当時問題となっていた大王製紙・オリンパスの事例を引き合いに出して企業の内部統制と企業コンプライアンス(企業倫理)を破ったとする声明を発表し、渡邊を批判した。告発の主な内容は以下の通りである[1]。

巨人の(来季の)ヘッドコーチは岡崎郁の留任が内定しており、10月20日に渡邉会長に報告し了承を得たが、11月4日には渡邉会長は記者会見で「オレは何も聞いていない」と発言。11月9日には岡崎を降格し、新たに球団OBである日本テレビ野球解説者の江川卓をヘッドコーチとすると聞かされた。これは不当な「鶴の一声」で、渡邉会長による巨人軍、プロ野球を私物化するような行為は許すことは出来ない。

この後の記者会見で、清武は自らが辞任するつもりはなく、渡邊に辞任を求めるつもりも無いと語った。吉峯も記者会見を球団事務所ではなく文部科学省で行った意図について「(文部科学省は)プロ野球も所管していることから無関心ではいられない問題である」と説明している[3]。

これに対して読売巨人軍代表取締役社長とオーナーを兼任する桃井恒和が同日に記者会見を開き、清武の記者会見について「球団の誰も知らなかった」とし、「代表取締役である自分の知らないところで、ああいう形で記者会見をやったのでは逆にコンプライアンスという意味でとんでもない」と述べ、ヘッドコーチ人事について岡崎の留任が覆ったことについては岡崎の留任が決定したのはクライマックスシリーズが始まる前で、ファーストステージで敗退したので状況は変わったとしたものの名前が挙がった江川との接触は無く、岡崎の留任も有り得るとコメントしている[4]。さらに桃井は「渡邉氏は親会社(読売新聞グループ本社)のトップで球団の平取締役とは異なる。不当な鶴の一声では無い」と反論している[1]。当事者となった岡崎郁は清武による記者会見が行われた日が休日のため記者会見の前までには宿舎であるホテルに戻っていたが、記者会見の後は報道陣に姿を見せずこの問題に対するコメントも出さなかった[3]。一方の江川はヘッドコーチ就任要請について「正式は話は受けていない」とコメントしながらも自身の名が挙がったことは光栄だとし、「自身が入団した時に小林さんに迷惑を掛けたのと同じように岡崎さんに迷惑を掛けることになるので難しい」と固辞する考えを明らかにしている[5]。巨人の監督である原辰徳もこの人事については「全く知らなかった」と述べ、江川の知らないところで名前が挙げられたことについても「大事な先輩なのでご迷惑を掛けてなければいいのですが…」とコメントしている[4][1]。

なお、清武から告発された立場である渡邉は同日21時に読売新聞本社から帰宅し、自宅前で報道陣に姿は見せたもののコメントは出さなかった[3][1]。

渡邉による反論

前日の清武による記者会見の直後にはコメントを出さなかった渡邉だったが翌日に反論談話を発表し、清武の記者会見を「事実誤認」「表現の不当」「許されざる越権行為」で渡邉に対する名誉棄損として清武に謝罪を求めた。渡邉の談話の要旨は以下の通りである[6]。

大王製紙やオリンパスに関する事件は刑事的なものであり、巨人軍の人事問題とは全く次元が異なる。桃井オーナーの退任は読売新聞グループ本社の白石興二郎社長が新オーナーとなるためであり、桃井オーナーは引き続き球団代表取締役にとどまる。コーチ人事の報告をクライマックスシリーズ前に受けたのは事実だが、敗退によって見直しが必要になったのは当然である。清武球団代表のGM就任は「態度が尊大」等の悪評や選手補強の失敗もあり適任ではなかった。江川の招聘は原監督の提案であるが、「思いつき」の段階で具体的なものではなく、江川とは接触していない。しかし清武球団代表が会見で公表した事によって実現困難となった。清武球団代表の行為は会社法で定める取締役の忠実義務に反する。ただし、本人の反省次第では直ちに処分は要求しない。

この渡邉の反論に対して清武は同日深夜に「信じられない」と述べ、「原がゼネラルマネージャーやオーナーに相談せず会長(渡邉)に直訴したことは信じられず、原を巻き込むことに疑問を感じる」との談話を発表した[7]。

巨人のこの日は宮崎秋季キャンプの練習日で、原は集まった選手に「目の前の野球に集中しよう」と騒動から遠ざける配慮を見せた。当事者となった岡崎も記者会見後では初めて報道陣の前に姿を見せたが、一連の騒動については「何も無い」と口を閉ざし、原も球団からの連絡について「何も無い」と述べ、桃井も「何も言えません」とのコメントを出している[8]。

球団内の相次ぐ動き

11月13日に原が報道陣の取材に応じ、渡邊による反論の中で出た江川の入閣案について「会談において多数出た案のうちの一つ」と認めた。翌日には清武が球団業務を再開し、その翌日には桃井が秋季キャンプを訪問して岡崎に「特に迷惑を掛けた」として直接陳謝すると共に来季のヘッドコーチ留任を伝えた。桃井は同日中に帰京してコミッショナーの加藤良三にも日本シリーズ直前の騒動について陳謝している。その後、桃井は報道陣の取材に対して清武の処遇について「当分ゼネラルマネージャー業務をやってもらうが心配もある。取締役会もあるし、どういう措置になるか」とコメントしている。

業務を再開した清武は11月17日に、告発会見について「あの人事は速やかに行うということ。日本シリーズが進行してしまってはコーチを守れないという判断のもとに行った。こんな時期になったのは非常に残念」とコメントしている[9][10]。

清武の解任

11月18日の清武は、当日13時から大村三郎(サブロー)、14時から藤井秀悟との契約更改交渉を行っていたが、藤井の契約更改交渉と同じ14時に親会社の読売新聞グループ本社で臨時取締役会が開催され、清武の取締役球団代表解任が決議された[11][10]。球団が挙げた解任の理由の要旨は以下の通りである[12]。

11日の会見は読売新聞グループ本社定款に定められた手続きに基づかないもので、誤った事実を公表し、巨人および読売新聞グループの名誉を傷つけ、コーチ人事を暴露して実現を困難にさせ、取締役としての忠実義務違反・善管注意義務違反を数々行い解任に相当するという結論に至った。同時に清武球団代表は自身の辞任を引き換えに渡邉恒雄の会長職辞任を求め、常勤監査役とすることを事態を収拾させる条件とした

球団は清武の後任として原沢敦を起用し、桃井のオーナー職を解いて白石興二郎を取締役オーナーに就任させる人事を発表したが、この人事発表は日本シリーズ開催期間中となったために、桃井はまず謝罪したうえで「一刻も早く正常な状態に戻さなければならない」とコメントした。これまで清武が担当してきた選手の補強や契約更改交渉などの戦力調整については「白紙に戻したうえでやり直す。大変なハンデである」と述べている[13]。

同日15時40分に桃井が清武に対して解任を通告し、清武は「わかりました」と答えている[10]。解任を受け、清武は「私は全く間違ったことはしていないので後悔も反省もありません。処分は極めて不当だと思っている。権力者が誤った時、キチンと物を言うのが取締役の務めだと思います」とコメントし、法的措置の可能性を示した[13]。渡邊はこの日は報道陣の前に姿を見せなかった[10]。

年末までの動き

清武は11月20日に宮崎を訪れ、母校である宮崎県立宮崎南高等学校の創立50周年記念講演を行った。今回の騒動については「最初からそういう覚悟をしなければ出来ない」と述べた一方で、解任されたことを理由に巨人の秋季キャンプは訪問しなかった[14]。同日、告発会見に同伴した吉峯は11月24日に清武による再反論記者会見を開くことを明かし、球団が18日に行った臨時の取締役会において清武による常任監査役の要求が無かったと反論すると共に球団に対して提訴の考えがあることを示した[15]。渡邉は11月21日に報道陣の取材に対して、清武の再反論会見について「最高級の弁護士10名を用意し、こちらから法廷に持って行く」と述べた。また、清武が主張した「渡邉の鶴の一声」で覆されたことについては「いずれ物件を見せて説明する。清武の主張はでたらめだ」と反論している[16]。

一日遅れの開催となった清武による再反論会見は日本外国特派員協会で開かれ、最初に行った告発会見の前に行った渡邉との電話において「オレは最後の独裁者だ。君は破滅だぞ。読売新聞との全面戦争になるんだ」と恫喝されたことを明かし、江川を招聘しようとした渡邉とのやり取りを公表した。渡邉が独断で巨人の集客のためだけに江川を入閣させようとしたことを批判したが、桃井はこの再反論会見を聞いて「解任は正当であることを確信した」と述べている[17]。

12月5日に読売巨人軍と読売新聞グループ本社は清武を相手取り、コーチ人事を公表したことや渡邉が独断で覆したり役職を剥奪したなどと虚偽の事実を語って取締役の忠実業務に反して読売新聞および巨人の名誉を傷つけたとして、約1億円もの損害賠償を求める訴えを東京地方裁判所へ起こした。オーナーの白石は「清武氏の本当の動機がゼネラルマネージャー交代に対する私怨だ」とする談話を発表している[18]。これを受けて清武は12月13日に、東京地方裁判所に対して渡邉および読売新聞グループ本社を相手取って約7500万円[19]の損害賠償請求および自身に対する謝罪広告の掲載を求める民事訴訟を起こした。同日中に記者会見を開いた清武は「正当な手続きにて確定し、行う予定だった読売巨人軍コーチの人事を『鶴の一声』で覆そうとした渡邉氏の行為は、監督を始めとする巨人軍内部の人間ならびに巨人ファンの皆様に対する裏切り行為に他ならない」との声明を発表した[20]。

契約金問題の噴出~判決

2012年(平成24年)2月2日、清武と読売巨人軍および読売新聞社側の両者が東京地方裁判所へ提起した民事訴訟の第1回の口頭弁論が開かれ、東京地方裁判所は両者の提訴を併合審理することを決定した[21]。さらに読売巨人軍側と読売新聞側は清武の新たな解任理由として「監督らの不信を招いている」として、これらを公表したことについて「裁判になったので明らかにした。追加ではない」としている[22]。一方で清武は、渡邊を証人として出廷させたい意向を示した[23]。

3月中旬頃、朝日新聞社が読売ジャイアンツへの新入団選手の契約金問題を報じたことを受けて、清武側が「過去の契約に関しては一切関与していない」と否定するコメントを発表した。これに対して巨人軍側が「清武氏のコメントは嘘がある」と反論するなど、双方とも批判合戦を展開する状況となっていた[24]。

2014年(平成26年)12月18日、東京地方裁判所は清武側に対して160万円の賠償を命じる判決を言い渡し、清武側の請求は全て棄却された[25]。これを受けて清武側は翌日に控訴している[26]。

マスコミの反応

読売系

読売新聞の11月12日付けの一面では取り上げられず、スポーツ欄において「巨人のコーチ人事、会長が指示と批判」という題で記事を掲載している。日本テレビは11日18時からのニュースでこの問題を約2分報じ、スポーツ報知の公式サイトでは清武による告発会見の直後 の14時29分に[27]、読売新聞の公式ホームページでは同日22時16分に「『巨人のコーチ人事、会長が指示と批判』清武代表」と第一報をそれぞれ伝えている[3]。翌日の読売新聞でも一面ではなくスポーツ欄による報道が続き、「著しい名誉毀損、渡辺会長が文書」とした渡邉の反論の要旨を掲載して渡邉が清武を批判したと報じたものの、清武による渡邉の反論に対する反論については掲載されなかった。その後、読売新聞では11月19日付けでこの問題を初めて一面で取り上げ、「巨人、清武取締役を解任」という見出しで清武が渡邉を批判した記者会見を行った問題で解任した、と伝えた。球団が発表した解任理由を挙げ、この日は清武の反論コメントも載せている。

2012年2月3日付の読売新聞では『清武氏への解任は正当。賠償訴訟、巨人本社が改めて主張』と題した前日での第1回口頭弁論の記事において、54行中29行を使って読売側の主張を掲載している。一方で清武側については「これに対し、清武氏側は『取締役解任は正当な理由がない』などと反論した」と僅か3行で伝えている。

読売系列以外の新聞

11月12日付けの全国系新聞で大きく取り扱われ、産経新聞は「巨人代表、渡辺会長を批判」、毎日新聞は「巨人代表、内部告発。渡辺会長、人事に不当介入」といずれも一面で大きく見出しを付けて報道している。朝日新聞は一面の概要欄に清武の顔写真付きで「球団代表、渡辺会長を批判」と紹介した。日本経済新聞はスポーツ欄において「巨人代表、渡辺会長を批判」と清武の写真入りで報道したほか、毎日では声明の全文を掲載しており[28]、会見の翌日に始まる日本シリーズ直前にして問題を表面化したことについて、朝日は清武も渡邉同様ファンを無視した暴挙[1]、産経は清武も東日本大震災の影響による開幕延期に反対しておいて違和感を覚える[27]としていずれも清武を批判している。しかし、11月19日付の読売以外の新聞(朝日、毎日、産経、日経)は12日とは逆に一面でこの問題を取り上げず、いずれもスポーツ欄や社会欄での掲載となっている。

11月26日付けの朝日新聞では清武に対するインタビューを紙面一面を使って掲載している。続く28日には同様に「独裁者と呼ばれて」とタイトルで渡邉に対するインタビューが掲載され、自身が独裁者と呼ばれることについて、「僕は民主的だよ。独裁者と書くメディアもあるが面白いし、売れるからね」と答えている。

2012年2月3日付の朝日、産経、毎日各紙でも大きく取り上げられ、朝日と産経がそれぞれ「開幕」と表現した題を付け、なかでも朝日は清武の写真入りで記事を掲載している。清武の談話は3紙とも掲載しているが、白石の談話は毎日では掲載されていない。日経は口頭弁論が行われたことを伝え、どちらのコメントも掲載されていない。

その他のマスコミ

清武前球団代表の11月11日における会見はニコニコ動画で生中継され、28万人が視聴している[1]。

アメリカの大手経済紙のウォールストリート・ジャーナルは電子版で「オリンパスからジャイアンツへと革命が広がった」という見出しで、巨人の内紛をゼネラルマネージャーの清武による「驚くべき反逆」として取り上げている[29]。

各方面の反応

この騒動について、プロ野球界や政界などの他方面から相次いでコメントが報じられている。なお、役職は当時のものである。

プロ野球界

加藤良三(コミッショナー)

11月11日の清武による告発会見を受けて「事実関係はわかってないのでコメント出来ない[3]」とのコメントを出した。

星野仙一(東北楽天ゴールデンイーグルス一軍監督)

「内々のことは巨人の中で話をしたらええやないか。会社会社で違うし、わざわざコメントしない[3]」。

広岡達朗(読売ジャイアンツOB会副会長)

今回の騒動は不透明な責任範囲が問題だとしたうえでメジャーリーグベースボールに置き換えたら清武と監督である原辰徳がクビと語り、「誰が悪いではなく日本の野球の構成上起こり得る。外国人の獲得に失敗し、選手はたくさんいても原が食い(使い)きれなかった。アメリカの方程式ではゼネラルマネージャーがクビで、良い選手がいて勝たない監督は5割でも能力が無いと処理されても仕方ない。一般的にオーナーというのは我儘なもので今回は12球団含めて反省しないといけない警告。コミッショナーを筆頭にあるべき姿にね[30]」と話している。なお、広岡の「清武が外国人の獲得に失敗し、アメリカならクビ」というコメントは渡邉が11月12日に出した反論談話において引用され、「もっともだと思います」と述べている[31]。

長嶋茂雄(読売ジャイアンツ終身名誉監督)

11月18日の臨時取締役会へ出席後に「あまりにも酷いものです。戦前、戦後を通じて巨人軍の歴史でこのようなことは無かった。解任は妥当だと思います」とのコメントを発表し、清武を批判している[12]。

江本孟紀(野球解説者)

清武の解任は当然[32]としたうえで、ゼネラルマネージャーとしての清武の問題点について「記者会見で自らの責任について一度も語らなかった。ゼネラルマネージャーという制度を理解していなかった[32]」と指摘し、職責を果たしていないと批判している。さらに日本のプロ野球全体の問題点として「素人に球団の編成やゼネラルマネージャーを任せている[32]」点を挙げ、そのような日本プロ野球界の土壌が清武氏のような勘違いする人間を作り出してしまった遠因[32]と論じている。渡邉を厳しく批判する清武の手法についても「読売やナベツネさん(渡邉)の悪い部分を後から暴露して復権させろと脅すのであれば、それはまるで暴力団と同じ手法である」と苦言を呈している[32]。

原辰徳(読売ジャイアンツ一軍監督)

2012年(平成24年)6月21日発売の週刊文春にて原の不倫および元暴力団への1億円の支払いが報じられると、原は早々にコメントを発表して謝罪すると共に「清武さんへ」と題する文書を発表した。この件を漏洩したのが清武であると名指ししたが、直後に清武本人から「非常に残念でなりません。私は関知していません」とのコメントが出された[33][34][35]。

政官界

文部科学省

清武が告発の記者会見を文部科学省の庁舎で開催した理由について「文部科学省はプロ野球も所管している[36]」と自説を展開しており、「文部科学省も無関心ではいられない問題[36]」と主張していた。ところが文部科学省は日本野球機構に対する指導監督権限こそ有するものの読売ジャイアンツの運営会社である読売巨人軍に対して直接指導する権限は持っておらず、清武の主張を真っ向から否定している。また、文部科学省競技スポーツ課では担当官が「現段階では指導に乗り出すつもりは無い」と明言すると共に「何の連絡も無いし、企業の内紛の段階ではないか」と指摘した[37]。

石原慎太郎(東京都知事)

石原は渡邉と以前から親交があり、11月11日の定例記者会見では「渡邉さんは実質的なオーナーで実力者。天の声というのもあるだろうよ」と述べている[1]。

法曹界

牛島信(作家、弁護士)

牛島も「清武氏が巨人を愛する気持ちは尊いと思うが、一般的な企業の場合、法的観点からは親会社(読売新聞グループ本社)の代表権を持つ渡邉氏は100%子会社である読売巨人軍の人事を指示できると考えられる。清武氏の言動は止むに止まれぬものとは思われるが、渡邊氏の言動にコンプライアンス上の問題があるとは考えにくい」と述べている[38]。

企業統治・危機管理

田中辰巳(危機管理コンサルタント)

清武の記者会見を受けて「コンプライアンスという言葉を誤って用いていた[39]」と辛辣に論評し、「順法の観点で見れば清武氏こそ内部統制に反している[39]」と指摘している。その上でコンプライアンスそのものについてもあまり関係ないと述べており、「むしろガバナンス、企業統治という視点で一言述べるとしたら『企業を私物化している』のではないか。コーチの人事について取締役会長が口を出すというのは犯罪でも何でも無いわけです。ただ、ちょっとやり方は乱暴で時代錯誤[40]」と語っている。

針木康雄(経営評論家)

「以前からプロ野球球団にはワンマンなオーナーは居たが、立場を弁えている人は余計なことは言わなかった。経営の責任者にとって最も重要なのが人事権なのに、昔の人が人事に口を出すのは最悪だ。そういう会社は現場の団結力が失われてダメになる」と述べている[41]。

森岡孝二(関西大学経済学部教授)

企業倫理に詳しい森岡は「会社の意思決定のプロセスを無視し、渡邊氏が決定を申し渡すのは明らかに不当。独裁的な経営は弊害が大きいとして改善していく流れが広がっている[42]」と述べている。

脚注

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 朝日新聞 2011年11月12日
  2. ↑ 秋季キャンプスタート 越智、長野の両キャプテンが引っ張る読売巨人軍公式サイト 2011年11月7日
  3. 1 2 3 4 5 6 スポーツニッポン 2011年11月12日
  4. 1 2 読売新聞 2011年11月12日
  5. ↑ サンケイスポーツ 2011年11月12日
  6. ↑ 毎日新聞 2011年11月13日
  7. ↑ 朝日新聞 2011年11月13日
  8. ↑ スポーツニッポン 2011年11月13日
  9. ↑ スポーツニッポン 2011年11月16日
  10. 1 2 3 4 スポーツニッポン 2011年11月19日
  11. ↑ 会社法319条11項の手続きに基づき。株主全員が書面で同意すれば、株主総会を開かずとも、可決決議があったとみなすもので、読売巨人軍の株主は読売新聞グループ本社1人だけで、全員の同意はあったとみなされる
  12. 1 2 読売新聞 2011年11月19日
  13. 1 2 朝日新聞 2011年11月19日
  14. ↑ スポーツニッポン 2011年11月20日
  15. ↑ 産経新聞 2011年11月21日
  16. ↑ 朝日新聞 2011年11月22日
  17. ↑ スポーツニッポン 2011年11月26日
  18. ↑ 朝日新聞 2011年12月6日
  19. ↑ なお、2012年(平成24年)2月3日の朝日新聞の記事では「受け取れたはずの役員報酬など計6220万円」とある。
  20. ↑ 巨人・清武前球団代表、渡辺会長や読売新聞グループに約7,500万円の損害賠償求め提訴 FNN News 2011年12月13日閲覧
  21. ↑ 渡辺会長の宣言通り!11人の弁護団で裁判 日刊スポーツ 2012年2月3日閲覧
  22. ↑ 毎日新聞 2012年2月3日
  23. ↑ 朝日新聞 2012年2月3日
  24. ↑ 巨人と清武氏、互いに非難=内部資料流出の疑いめぐり 時事通信 2012年3月19日閲覧
  25. ↑ 清武の乱 巨人の勝ち 泥沼3年バトルに判決 スポニチアネックス 2015年1月11日閲覧
  26. ↑ 清武氏が控訴 一審判決は160万円支払い命じられる スポニチアネックス 2015年1月11日閲覧
  27. 1 2 産経新聞 2011年11月12日
  28. ↑ 毎日新聞 2011年11月12日
  29. ↑ サンケイスポーツ 2011年11月13日
  30. ↑ “広岡氏、G内紛で持論…球界全体に警鐘”. デイリースポーツ (2011年11月14日). 2011年11月14日閲覧。
  31. ↑ 毎日新聞 2011年11月13日
  32. 1 2 3 4 5 二宮清純・弘兼憲史・江上剛・江本孟紀「清武の乱私はこう考える」『週刊文春』53巻47号、文藝春秋、2011年12月1日、32頁。
  33. ↑ 原監督 ファンに謝罪「私はある女性と関係を持ちました」スポニチ2012年6月20日
  34. ↑ 巨人・原監督、暴露に「清武さんの他にだれが」デイリースポーツ2012年6月21日
  35. ↑ 「関知していない」と清武氏=原監督メッセージに反論-プロ野球 時事ドットコム2012年6月20日
  36. 1 2 「なぜ文部科学省で会見?→プロ野球所管しているから」、スポーツニッポン新聞社、2011年11月12日。
  37. ↑ 木村健二「巨人:「企業の内紛では」文科省は静観」毎日.jp、2011年11月11日。
  38. ↑ “巨人“造反劇”で素朴な疑問…球団で一番偉いのは誰?”. zakzak (2011年11月12日). 2011年11月13日閲覧。
  39. 1 2 「「清武氏より理路整然」「独裁者らしく堂々と」 識者ら渡辺氏の談話にコメント」産経、2011.11.13 。
  40. ↑ “巨人軍のお家騒動に、専門家「コンプライアンスはあまり関係ない」”. sportswatch (2011年11月12日). 2011年11月13日閲覧。
  41. ↑ ““巨人内紛”を斬る!渡辺会長と清武代表どっちが悪い?”. zakzak (2011年11月12日). 2011年11月13日閲覧。
  42. ↑ “巨人“造反劇”で素朴な疑問…球団で一番偉いのは誰?”. zakzak (2011年11月12日). 2011年11月13日閲覧。

関連項目

外部リンク