

はかた号(はかたごう)は、西日本鉄道(西鉄バス)が運行する、バスタ新宿(所在地は東京都渋谷区)と福岡県北九州市小倉北区・八幡西区ならびに福岡市中央区・博多区を結ぶ夜行高速バス路線である。
新宿駅南口のバスタ新宿(東京都渋谷区千駄ヶ谷)と博多バスターミナル(福岡市博多区博多駅中央街)間の1,097kmを、約14時間かけて走破する夜行高速バス路線である。バスタ新宿の開業以前は、東京側の発着地は京王が運営していた新宿高速バスターミナル(新宿駅西口、東京都新宿区西新宿)であった。
かつては運行距離、所要時間ともに日本最長の高速バス路線であった。2020年現在では「はかた号」の運行距離は、オー・ティー・ビーが運行する「オリオンバス」(東京駅 → 博多駅間1,110 km、15時間50分)に次ぐ国内2位、所要時間は国内4位(東京発14時間17分、福岡発14時間39分)となっている[2]「はかた号」が運行距離に比して所要時間が比較的短いのは、走行区間のほぼ全線で高速道路を走行し、他の高速路線バスと比べて一般道路を走行する割合が極めて低いためである。なお、新高速乗合バス制度施行以前は「オリオンバス」はツアーバスとして運行していた。
北海道テレビ放送(HTB)制作のバラエティ番組『水曜どうでしょう』では、「はかた号」が「キング・オブ・深夜バス[3]」として紹介され、大泉洋ら出演者が実際に乗車する企画を放送したことで全国的な知名度が高まった[3]。
「はかた号」以外の東京 - 福岡間を結ぶ公共交通機関としては、前述の夜行高速バス「オリオンバス」のほか、鉄道路線では東海道・山陽新幹線「のぞみ」、空路では首都圏と九州各県の国内定期航空路線、フェリー航路では東京港(東京港フェリーターミナル) - 新門司港間のオーシャン東九フェリーがある。
東京側の待機場は、路線開設時の京王バス[4]永福町営業所から中野営業所に変更されたが、2階建てバスの運行開始後は永福町営業所に戻された。繁忙期は永福町営業所の他に中野営業所を使用することもある。過去の最盛期に10台から12台で運行していた頃は、両営業所の車庫を使用しても全車両を収容できないため、一部車両は東京都庁舎の駐車場を待機所として使用していた時期もあった。その後も繁忙期などで続行車の台数が多い場合は、都営バス新宿支所を待機所として使うこともある。
開業前の計画段階では、北九州市を経由することや、サロン付き2階建てバスの使用、途中サービスエリアで食事を提供することが検討されたが、運行開始時にはいずれも見送られた[5]。
2009年6月時点での利用者数は年間2.1万人(『京都新聞』2009年6月27日付による)[6]。
太字は客扱いを行う場所。交通事情などにより経由地や休憩場所は変更される場合がある。
バスタ新宿 - 初台南出入口[27] -(首都高速中央環状線・首都高速3号渋谷線) - 東京IC - (東名高速道路・新東名高速道路・伊勢湾岸自動車道・東名阪自動車道・新名神高速道路・名神高速道路・新名神高速道路・山陽自動車道・広島岩国道路・山陽自動車道・中国自動車道・関門橋) - 門司IC - (北九州都市高速4号線) - 富野出入口 - (平和通り・小文字通り) - 小倉駅前 - (国道199号) - 砂津 - (国道3号・国道199号) - 足立出入口 - (北九州都市高速4号線) - 黒崎IC〈引野口〉 - (北九州都市高速4号線) - 八幡IC - (九州自動車道) - 福岡IC - (都市高速4号線・1号線・環状線) - 天神北出入口 - 西鉄天神高速バスターミナル - 博多バスターミナル
運行開始当初は、片道15,000円・往復27,000円の運賃設定で、運行開始以来2009年まで運賃改定は行っていなかった。
運賃は長らく1クラス制であったが、2009年12月22日の2階建て車両導入を機に「プレミアム」「ビジネス」「エコノミー」の3クラス制に分けられるようになった。「エコノミー」は往復割引がないものの通常期は片道1万円を切る価格設定がされている[28]。それにより以下のような運賃体系となった。
2013年4月1日に運賃を再度改定し、日によりA運賃・B運賃・C運賃・D運賃の4種類の運賃となった。また往復割引が廃止されるとともに、福岡市内乗降・北九州市内乗降ともに同一運賃となり、プレミアムシート利用料は3,000円に値下げされた。
2014年12月の新型車両導入に合わせエコノミーシートの設定がなくなり、運賃が以下のように改定された[15]。なお、続行便で運用される2階建てバスに関しては、ビジネスシート以外はこれまでの運賃体系を引き継ぐ。
2021年4月23日運行分からは、WEB発売分がダイナミックプライシング型に移行する[25]。価格幅は、ビジネスシートが9,000円から18,000円までの12パターン、プレミアムシートは18,000円から23,000円までの8パターンとなり、予約タイミングによって随時価格が変更される。電話・窓口発売はビジネスが17,000円、プレミアムが22,000円に固定。2024年5月にはパターンが変更されビジネスシートは9,000 円 - 20,000円の13パターン、プレミアムシートは18,000 円 - 25,000円の9パターン(電話・窓口発売はビジネスシートが20,000円、プレミアムシートが25,000円の最高額に固定)となった。
はかた号の所要時間は、航空機(所要90分から100分程度)や鉄道(東海道・山陽新幹線「のぞみ」は所要5時間4分)との差は大きかったものの、この当時の鉄道利用の場合は通常期に新幹線普通車指定席を利用の場合で片道23,100円(運賃13,180円+「のぞみ」特急料金9,920円)[29] で、航空機利用なら片道25,350円・往復45,800円(いずれもジェット特別料金片道850円を含む)[30] となっており、価格面では「はかた号」が優位であった。その為、開業当初は利用率も非常に高く週末には続行便が出ることが常態化しており1996年には1日平均120人の利用があった[31]。
一方航空においては、1998年9月にスカイマークエアラインズ(現・スカイマーク)が羽田 - 福岡線に新規参入し、普通運賃を日本航空・全日本空輸・日本エアシステムの大手航空3社の半額となる13,700円に設定したため、大手3社は「特割」などの割引運賃でこれに追随した。この結果、航空運賃は「はかた号」の片道普通運賃を下回った(ただし、航空運賃は一定ではなく時期などによって変動する)。のちに航空運賃は徐々に値上げされ、航空の通常期運賃などに比べ「はかた号」の価格面での優位性は再び高まった。 その後、東京 - 北九州線に新規参入したスターフライヤーが、指定期間のみ発売・2か月前予約・購入が必要という条件とはいえ片道1万円前後の航空券を販売している。北九州発の始発便と羽田発の最終便については、前日までの購入でも13,000円から16,000円程度の価格設定となった(その時間帯は深夜早朝に当たり、北九州空港と市街地を結ぶ鉄道・バスの便がないため安価な設定とされている)。また、日本航空・全日本空輸の大手航空2社も期間限定の早期割引運賃では「はかた号」の運賃と同程度の運賃設定を行っている。 また格安航空会社においては、2013年よりジェットスタージャパンが、2015年よりPeachが成田 - 福岡間に就航した。2022年現在、Peachは3990円からとなる運賃設定を行い特に閑散期での価格面で優位に立っている。
鉄道においては、福岡市に西日本旅客鉄道(JR西日本)山陽新幹線の終点である博多駅が立地し、JR各社では運賃・新幹線特急料金を割り引いた特別企画乗車券の発売を行っている。「のぞみ早特往復きっぷ」は福岡側のみの発売で、利用条件が限定されるが(1週間以上前の購入・往復利用)、福岡市内 - 東京都区内間で「はかた号」のビジネスシートより高くプレミアムシートより安い往復33,000円(片道あたり16,500円)の特別企画乗車券を発売している。
航空・鉄道の各種割引制度や特別企画乗車券の導入による実質的な低価格化により、利用率は大幅に下がり1999年1月18日以降は京王が撤退して西鉄の単独運行に移行し、2往復の運行から1往復に減便された。その頃西鉄も利用者減を理由に1999年8月を目途に廃止する予定を立てていたが[31]、前述のように航空運賃が値上げし、利用客が戻った為運行は継続された。なお、年末年始・ゴールデンウィーク・お盆などの繁忙期には「はかた号」が増車運行されることもある。
さらに21世紀に入ると、オリオンツアー、ロータリーエアーサービスなどによりツアーバスが主催されるようになり、「はかた号」のビジネスシートと同等の独立3列シートタイプで片道10,000円から13,000円程度、エコノミーシートと同等の4列シートタイプの格安便だと時期によっては片道8,000円という旅行代金が設定される日もあった。また主催者や便によっては「はかた号」と同様の新宿・福岡市内のほか、東京ディズニーリゾート・東京駅周辺・横浜市・北九州市などの多様な発着地が設定された。これらのツアーバスは2013年7月31日の「新高速バス制度」施行までに多くが姿を消し、天領バスの「オリオンバス」とロイヤルバスの「ロイヤルエクスプレス」が高速乗合バスに移行したが、いずれも運賃はツアーバス時代の料金より上がり「はかた号」との価格差は縮小した。「ロイヤルエクスプレス」は2017年に運行休止され、「オリオンバス」のみが残っていたが、2020年にこれまで天領バスに運行委託されていた「オリオンバス」の元請であるオー・ティー・ビーが福岡営業所を開設し、隔日自社運行となったのち、2021年3月に新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言を受けて運休を機に天領バスがオリオンバスより離脱、独自に「TenryoLINER」を立ち上げ7月31日より運行開始した事により、現在は「はかた号」「オリオンバス」[32]「TenryoLINER」[32] の3社による競合となっている。

はかた号運行開始30周年を記念して、2020年(令和2年)7月から新型車両に替わった[23]。車種は先代同様、スーパーハイデッカー車の三菱ふそう・エアロクィーン (MFBM製)。先代同様、ロゴはゴールド白夜行ロゴに「Line connecting Hakata with Tokyo」の組み合わせとなっている。
座席配列も先代同様プレミアム・ビジネスの2クラス制で「プレミアムシート」4席、「ビジネスシート」18席(うち最後部3席は2020年7月までは女性専用席[24])。
2014年(平成26年)12月から新型車両に替わった[15]。車種はスーパーハイデッカー車の三菱ふそう・エアロクィーン (MFBM製)。白夜行ロゴがゴールドになり、2階建てバス同様「Line connecting Hakata with Tokyo」が描かれている。
エコノミーシートを廃止し、プレミアム・ビジネスの2クラス制に移行。「プレミアムシート」4席、「ビジネスシート」20席→18席(うち最後部4席→3席は女性専用席)。
2020年の新車導入以降は予備車両となり、通常はあまり使用される機会がないが、現行車の車検・整備・その他車両都合時や繁忙期における2号車以降の続行車として現在も本路線にて使用されている。2023年11月には2クラス制を活かして福岡 - 長門温泉線「おとずれ号」の運用に期間限定で使用された。

2009年12月に従来のスーパーハイデッカー車に代わり、西鉄の高速バスでは初となる2階建て車両の運行を開始した[34]。車種は三菱ふそう・エアロキングで、1階にトイレを設置している。
外観は一般公募によるデザインが採用され、ゴールドのベースカラーに、東京都の都花「桜」と福岡県の県花「梅」が描かれている[28]。
座席は「プレミアムシート」4席、「ビジネスシート」21席、「エコノミーシート」10席の3クラス、計35席備えられている。
2階建てバスについては2009年12月より運行を開始したほか、2012年12月からは北九州経由で運行している。
2階建てバス導入前まではスーパーハイデッカー車が使用されていた。岡本太郎のデザインによる白ベースの車両が原則として使用され、塗色名称は「白夜行」と呼ばれている。専用車両には「HAKATA」のロゴが表記されていたが、2003年の新製車から他系統への運用充当を意識してロゴがなくなり、それ以前の車両についても2006年秋頃にロゴが消された[要出典]。
全席独立3列シートでトイレを設置している。運行開始当初は西鉄・京王とも正座席23人乗りで後部サロン付き(京王は三菱自動車純正ボディの三菱ふそう・エアロクィーン、西鉄は西日本車体工業SD-IIボディのエアロクィーン)であったが、西鉄は1994年12月に正座席27人乗り・後部談話室(サロン)付きの車両に、京王は1995年8月に正座席28人乗り・サロンなしの車両にそれぞれ変更された。
京王の撤退後、西鉄では2003年から後部談話室と公衆自動車電話を廃止し、他の夜行バス用車両と同様の仕様とした車両が導入されている。また、2006年からは従来の西日本車体工業製の車体を持つ車両に代わり、三菱ふそうバス製造が架装する三菱ふそうトラック・バス純正車体(ハイウェイライナー)の車両が導入されている。トイレの位置が異なるため、この車両は座席配置が従来と異なっている。
スーパーハイデッカー車は2階建て車両の導入により通常は「はかた号」では使用されなくなったが、2階建て車両が検査に入る際の代走、あるいは2号車以降の続行便が運行される際の続行便用として使用されることがある。
続行便を運行する場合は、通常「ひのくに号」などで使用されている「火の鳥カラー」で後部トイレ付き4列シートのハイデッカー車(主に8528、8529[35])や、かつて「Lions Express」専用車であった「白夜行カラー」(現在は「火の鳥カラー」)でスーパーハイデッカーの8545、8546号車が全席をエコノミーシート扱いとして運行されることがある。(8545はその後最高級のラグジュアリーバスツアーブランド『GRANDAYS』専用車に転用された。)
過去には、年末年始やお盆などの多客期には予備車や、系列子会社であった西鉄高速バス(2019年4月1日付で吸収合併)の夜行高速車(車体に白夜行および「ムーンライト」カラーの3列独立シート車)を使用し、合計4台から8台で運行することもあった。運行開始当初から1999年頃までにおける最盛期には、貸切車(4列シート車ではあるがトイレと給湯器、乗務員仮眠室を備えたスーパーハイデッカーの「スーパーロイヤル」)を含め10台から12台で運行していたこともある。その時期に比べると続行車の台数は減少している。なお、西鉄高速バスの車両は西鉄に貸し出されていたため、原則として西鉄の乗務員が運行を担当したが、乗務員が不足する際には西鉄高速バスの乗務員が乗務する場合もあった。
2003年には新車として、三菱ふそうのKL-MS86MP改(2003年4月以降で西工ネオロイヤルSD-II架装のため改造扱いとなる)を導入した。2006年・2007年・2008年には新車として三菱ふそう・エアロクィーンI(PJ-MS86JP)を三菱ふそうバス製造の車体で導入した。これらの車両には「HAKATA」のロゴは入っていない。
京王帝都電鉄(当時)の初代「はかた号」車両は、1990年の運行開始時に導入された初代エアロクィーン(エアロクィーンM、U-MS729S)であった[38]。エンジン型式は8DC11、ホイールベースは6500mm[38]。固定窓のサブエンジン式冷房車で、乗務員用仮眠室と車両中央にトイレを備えていた[38]。初代専用車両は定員23名で、車内後部にサロン(談話室)を備えていた。京王の「はかた号」撤退後は昼行路線に転用された[38]。すでに廃車済みである。
京王電鉄の2代目「はかた号」車両は、1995年に導入された2代目エアロクィーン(エアロクィーンI、U-MS821P)であった[38]。エンジン型式は8M20、ホイールベースは6150mm[38]。先代と同様に、固定窓のサブエンジン式冷房車で、乗務員用仮眠室と車両中央にトイレを備えていたが[38]、2代目車両ではサロンは廃止された。元は定員28名であったが[38]、京王の「はかた号」撤退後は4列シート(定員39名)に改造の上、中央高速バスの昼行路線に転用された[38]。こちらもすでに廃車済みである。
京王の車両はいずれも三菱自工(大江工場)製の純正車体を架装し[38]、フロントガラスは1枚ガラスを採用していた[38]。
前述のオリオンバス以外にも、運行距離・時間で「はかた号」をかつて上回った高速バス路線は複数存在する。
また、ロイヤルバスが東京駅・バスタ新宿 - 福岡間で「はかた号」と同一区間を含む「ロイヤルエクスプレス」を運行していたが、2017年3月末をもって運行休止している。新高速乗合バス制度施行以前は、同区間をツアーバスとして運行していた。
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