| カ科 | ||||||||||||||||||||||||
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| 地質時代 | ||||||||||||||||||||||||
| 中生代白亜紀後期セノマニアン-現生 | ||||||||||||||||||||||||
| 分類 | ||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||
| Culicidae Meigen, 1818 | ||||||||||||||||||||||||
| 英名 | ||||||||||||||||||||||||
| mosquito | ||||||||||||||||||||||||
| 亜科 | ||||||||||||||||||||||||
カ(蚊)は、ハエ目(双翅目)糸角亜目カ科(学名: Culicidae)に属する昆虫である。イエカ属、ヤブカ属、ハマダラカ属など35属、約2,500種~約3000種が世界に存在し、うち日本は100種程度である(東京都福祉保健局による)[1]。ヒトなどから血液を吸う吸血動物であり、種によっては各種の病気を媒介する衛生害虫である。


一生のうちで、卵→幼虫→蛹→成虫と完全変態する。卵から蛹までの期間は種や温度によって変わる。イエカの一種 Culex tarsalis は、20℃の環境では14日で生活環を完成させる。25℃の環境では10日である。
知られている限り最も確実な最古のカの化石は白亜紀後期セノマニアンのミャンマーの琥珀から知られている[8][9]。2023年にレバノンの白亜紀前期(バレミアン)の琥珀から記載されたLibanoculex intermedius[10]は後にケヨソイカ科の双翅類であるとされるようになった[11]。

カは人類にとって最も有害な害虫である。メスが人体の血液を吸い取って痒みを生じさせる以外に、感染症の有力な媒介者ともなる。カによって媒介される病気による死者は1年間に75万人にもおよび、2位の人間(47万5000人)を抑えて「地球上でもっとも人類を殺害する生物」となっている[13]。マラリアなどの原生動物病原体、フィラリアなどの線虫病原体、黄熱病、デング熱、脳炎、ウエストナイル熱、チクングニア熱、リフトバレー熱などのウイルス病原体を媒介する。日本を含む東南アジアでは、主にコガタアカイエカが日本脳炎を媒介する。地球温暖化の影響で範囲が広くなっている問題もある。カによる病気の中で最も罹患者及び死者の多い病気はマラリアであり、2015年には2億1400万人が罹患して43万8000人が死亡した[14]。こうしたカによる感染症はカの多く生息する熱帯地方に発生するものが多く、マラリアをはじめ黄熱病やデング熱などはほぼ熱帯特有の病気となっている。また、カが媒介する伝染病は特定の種類のカによって媒介されることが多く、マラリアはハマダラカ、黄熱病やデング熱はネッタイシマカやヒトスジシマカ、ウエストナイル熱はイエカ、ヤブカ、ハマダラカによって媒介される[15]。
蚊によって媒介される感染症は、感染源によって3つのタイプに分かれる。家畜や野生動物などからしか人間に感染しないもの、家畜や野生動物および感染した人間から人間に感染するもの、そして人間の間でしか感染しないものである。最初のタイプは日本脳炎などが該当し、野生動物(日本脳炎の場合は水鳥)や家畜(日本脳炎の場合はブタ)から吸血した蚊がウイルスを保持するようになり、その蚊が人間から吸血することでその人間に感染する。このタイプの場合、感染した人間から他の人間や動物には感染しない。2番目のタイプには黄熱病やデング熱などが該当し、野生動物(黄熱病やデング熱の場合はサル)およびそれらに感染した人間から吸血した蚊がウイルスを保持するようになり、その蚊が別の人間を吸血することでその人間に感染する。3番目のタイプにはマラリアなどが該当するが、これらの病原菌は動物は保持しておらず、感染した人間から蚊が吸血することによってのみ病原体が広まる。このため、周囲にマラリア感染者がまったく存在しない場合は、マラリアに感染する可能性はない。一方前二者のタイプにおいては感染経路において人は一部のみ、または全く関与していないので、感染者がいなくとも流行が起きることはありうる[16]。
深夜の3~5時あたりでも活動しており、刺された痛み(痒み)や羽音で睡眠を阻害される事もあり、日常生活に悪影響を及ぼす面でも忌み嫌われている。
俳句では「蚊」「孑孑(ボウフラ)」ともに夏の季語とされる[23][24]。 滋賀県守山市は湿地が多く、古くは蚊の名所として知られ、人間ほどの蚊が出るという伝説があった。この蚊は狂言『蚊相撲』に登場し、人間に相撲を取ろうと持ちかけて近づき、血を吸おうとするが正体を見破られ、扇で煽がれて退治される。
人の血を吸った蚊の体内に残るヒトDNA型を鑑定することで、吸血2日後まで個人が特定できることを、名古屋大学大学院医学系研究科の山本敏充准教授らの研究グループが実験で確かめた。この研究では、グループは殺虫剤「キンチョール」で知られる大日本除虫菊(KINCHO)の協力を得て、無菌状態で飼育された蚊を入手した。国内で一般的なヒトスジシマカ、アカイエカにヒトの血を吸わせ、一時間後から72時間後まで数時間ごとに体内のヒトDNAを抽出。量や分解の程度を調べるとともに、DNA型による個人の識別を試みた。7人の被験者で検証した結果、吸血から48時間後までDNA型判定が可能だったという。いつ吸われた血か、半日単位で推定できることもわかった。グループは今後、1匹で複数のヒトの血を吸った場合の識別や、経過時間の精度向上を目指し、実験を続ける。山本准教授は「犯罪現場では蚊にも刺されてはいけない、という恐れが犯罪抑止につながれば」と話す。研究成果は2017年6月15日付米科学誌電子版に掲載された[25]。
蚊は水たまりが発生源で、成虫は樹木や草むらで休む[26]ため、その近くは刺されないよう警戒したり、駆除を行ったりする対象エリアとなる。気温が18℃以上あれば活動でき、さらに季節による気温の変化が大きい日本では、成虫は夏に活発な行動を見せる。日本気象協会はアース製薬と協力し、地域ごとに蚊に注意すべき度合いを「蚊ケア指数」として公表していた(2024年3月終了)[27]。


除虫菊に殺虫効果があるとことは、古くから経験的に知られていた。また、蚊の一部の種は柑橘系の樹木・果実を嫌う習性があり、ネペタラクトンやシトロネラ油が忌避剤として利用されるほか、夏みかん等の果実の皮汁・果汁を人体に塗布する地方もある。
消費者心理として「天然成分の方が安全」との先入観を抱きがちであるが、天然成分で効果が示されるレモンユーカリ油は、ユーカリ油に含有するシネオールが呼吸・神経への危険性が指摘されているため、3歳未満の乳幼児の使用には注意喚起がなされている[28]。
動物には忌避効果のある成分を含む植物を体に擦りつける習性を持つ種もある[29]。
銅を沈めると、ボウフラを弱らせる効果が発見されており[30]、水の中に十円硬貨などの銅片を入れる、水の容器を銅製にする対策が行われたり、洗剤を水に溶かすと、界面活性剤によってボウフラが窒息し死滅することが知られている。
現代的な駆除は、家庭内では主に夜間に蚊取線香や蚊取りリキッド、ハエやゴキブリなども対象のスプレータイプの殺虫剤を使用して駆除を行う。日本において蚊などに用いる殺虫剤は医薬品医療機器等法に則り、厚生労働省が承認した、医薬部外品として取り扱われる。
蚊のための殺虫剤は、以下のとおり。
かつて日本においては、ヨモギの葉、カヤの木、スギやマツの青葉などを火にくべて、燻した煙で蚊を追い払う蚊遣り火という風習が広く行われていた。また、こうした蚊を火によって追い払う道具は蚊遣り具、または蚊火とよばれ、全国的に使用されており、大正時代まではこれらの風習が残っていた。
蚊の駆除器具として使用されているものとしては、蚊取り線香がある。ただしその歴史自体は非常に新しいものであり、和歌山県出身の上山英一郎が線香に除虫菊の粉末を練り込んだものを1890年(明治23年)に開発したのが始まりである。蚊取線香の殺虫能力は高く、大正時代末には、蚊遣り火や蚊遣り具に取って代わった。ただし蚊取線香も火を用いることには変わりなく、安全性を高め灰の処理を容易にするために、蚊遣器と呼ばれる陶器製の容器(ブタをかたどった物が特に有名)に入れて使用することも多かった。
やがて1963年には、アレスリンを電熱によって揮発させ、殺虫効果を得る電気蚊取が開発され、煙や灰が出ないことから、1970年代には普及し、従来の蚊取線香に取って代わった。また、同時期にはスプレー型の殺虫剤や防虫剤も開発され、これも蚊の対策として広く使用されるようになった。
上記のような蚊の駆除器具の代表的な企業としては、上山の興した金鳥(大日本除虫菊)や、アース製薬、フマキラーなどがある。


蚊の侵入を防ぎながら空気の通りを妨げない物として、窓に網戸、屋内で蚊帳がある。いずれも目が1mm程度の細かな網を蚊の侵入方向に張り巡らせて侵入を防ぐものであり、人間の寝所等の周りに吊るして防御するものが蚊帳、それを推し進めて窓に網を張り家全体への蚊の侵入を防ぐものが網戸である。この成り立ちからも推測できる通り、使用の歴史としては蚊帳の方がはるかに古く、古代から世界中で使用されていた。日本においても中国から伝来し、既に江戸時代には一般庶民の日用品となっていた。その後、昭和時代後期に入りガラス窓とそれを乗せるサッシが普及して気密性が大幅に向上し、蚊の侵入する隙間が窓以外なくなったことから窓での蚊の防御に意味が生まれ、網戸が誕生して急速に普及した。現代においては網戸は、ほぼ日本中の家で採用されていると思われるが、蚊帳は現代の日本ではあまり用いられていない。ただし日本以外の国々、とくに熱帯地域の諸国においては蚊帳は現在でも非常によく使用される。蚊帳の使用は熱帯地域における伝染病の感染を減少させる有効な手段とされ、特に2000年頃に5年間ほど効果が持続する[38]ピレスロイド系の殺虫剤を添加した蚊帳が開発されると、世界保健機関(WHO)や多くのNPOがこれを採用して無償配布や援助を行うようになった。
また蚊は風速1m以上の風が吹く環境下では飛行できない(横風を受けて飛ばされてしまう。ヒトに取り付く事も出来ない)ため、扇風機の風を当てる事でも防除はできる。
蚊の駆除を目的としたものには、紫外線で蚊を誘引し、通電した格子に触れさせ感電死させる電気捕虫機[39](電撃殺虫器[40])があり、同様に紫外線や二酸化炭素で誘引した蚊を風力で捕獲する機器も登場している[41]。
侵入した蚊を駆除する方法としては、電気の流れるラケット状の器具「電気蠅叩き」が登場している。
ボウフラの生息場所となる「水たまり」を、可能な限り作らないことが重要である。それが困難な場合には以下の方法がある。
また、水源から離れた場所に設置し、敢えて蚊に産卵させた上で羽化した成虫を閉じ込める罠も商品化されている[48]。同じような罠をペットボトルなどで作成することもできる[49]。
ボウフラは水中の有機物を分解し、バクテリアを食して排泄物を出す。微生物も同じように有機物を分解し排泄物を出すが、呼吸を水中で行うため、バクテリアが増えすぎると水中の酸素が少なくなり生物が住めなくなってしまう場合がある。ボウフラはバクテリアを食べ、呼吸は空気中から行うことで、水環境を浄化する作用がある[50][51]。
蚊は吸血だけでなく花の蜜を吸って生きており、結果として植物の受粉を手助けしている。なかでも、チョコレートの原料であるカカオは、花が非常に小さく複雑な構造であるため、3ミリメートル未満の送粉者を必要とする。蚊の一種であるヌカカ[注釈 2][52]は、カカオの貴重な送粉者である。もしも地球上から蚊が全滅してしまったと仮定すると、カカオの生育に大きな悪影響を及ぼし、人々はチョコレートやココアを嗜むことが不可能となる[53][54]。
ボウフラは、数百種類にわたる魚に捕食されており、もしもボウフラがいなくなると、それらのエサが失われることから、生態系の秩序が乱れ、思いもよらぬ影響が及ぼされることが懸念される。また、トンボ、アリ、クモ、コオロギ、トカゲ、カエルなどにも一定の影響を及ぼすと考えられている[53]。
人道的見地を排斥した視点からは、蚊の駆逐は人口爆発に加勢し、税負担の増加や国家発展の妨げとなる可能性が示唆される[55]。
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