ちょうこくぐ座
| Caelum | |
|---|---|
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| |
| 属格形 | Caeli |
| 略符 | Cae |
| 発音 | 英語発音: [ˈsiːləm], genitive /ˈsiːlaɪ/ |
| 象徴 | 鑿[1][2] |
| 概略位置:赤経 | 04h 19m 31.7727s - 05h 05m 01.1850s[3] |
| 概略位置:赤緯 | −27°.0248775 - −48°.7384491[3] |
| 20時正中 | 1月下旬[4] |
| 広さ | 124.865平方度[5] (81位) |
| バイエル符号/ フラムスティード番号 を持つ恒星数 | 8 |
| 3.0等より明るい恒星数 | 0 |
| 最輝星 | α Cae[6](4.45等) |
| メシエ天体数 | 0[7] |
| 確定流星群 | 1[8] |
| 隣接する星座 |
はと座 うさぎ座 エリダヌス座 とけい座 かじき座 がか座 |
ちょうこくぐ座[5](ちょうこくぐざ、ラテン語: Caelum)は、現代の88星座の1つ。18世紀半ばにフランスの天文学者ニコラ=ルイ・ド・ラカイユが考案した新しい星座で、銅版画に用いる鑿がモチーフとされた[2]。領域が狭く明るい星もないことから目立たない星座である。
特徴

東をはと座、北東をうさぎ座、北西をエリダヌス座、南西をとけい座、南をかじき座、南東をがか座に囲まれている[9][注 1]。20時正中は1月下旬頃[4]で、北半球では冬の星座とされ[10]、初秋から晩冬にかけて観ることができる[9]。赤緯−27°.02を北端としているため、人類が居住しているほぼ全ての地域から星座の一部を観ることができる[9]。一方、南端は−48°.74 と天の南極に近いため、北緯41°.2以北の地域[注 2]からは星座の全体を観ることができない[注 3]。全天で8番目に小さく[5]、領域内に目立つ天体もない。
由来と歴史
ちょうこくぐ座は、18世紀中頃にフランスの天文学者ニコラ=ルイ・ド・ラカイユによって考案された。1756年に刊行された『Histoire de l'Académie royale des sciences』に掲載されたラカイユの星図の中で、エングレービングに用いるビュランとドライポイント用ニードルがリボンで結ばれた姿とフランス語で「les Burins」と名称が描かれたのが初出である[2][11][12]。のちのラカイユの死後1763年に刊行された著書『Coelum australe stelliferum』に掲載された第2版の星図では、ラテン語化された「Caelum Scalptorium」と呼称が変更されている[2][13]。
1844年にイギリスの天文学者ジョン・ハーシェルは、フランシス・ベイリー宛の書簡の中で、Caelum Scalptorium を「Caelum」と短縮することを提案した[2][14]。それを受けたベイリーが、翌年の1845年に刊行した『British Association Catalogue』において「Caelum」と改めたことにより、以降この呼称が定着することとなった[2]。
1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、星座名は Caelum、略称は Cae と正式に定められた[15][16]。新しい星座のため星座にまつわる神話や伝承はない。
呼称と方言
ラテン語の学名は Caelum、属格は Caeli、略称は Cae と定められている[15][16]。現代の中国では雕具座[17][18]と呼ばれる。
日本では、1910年(明治43年)2月刊行の日本天文学会の会誌『天文月報』第2巻第11号で星座名の改訂が示された際に「彫刻具」という呼称が使われている[19]。この呼称は、1925年(大正14年)に初版が刊行された『理科年表』[20]や1928年(昭和3年)に天文同好会の編集により新光社から刊行された『天文年鑑』第1号[21]にもそのまま引き継がれている。戦後の1952年(昭和27年)7月、日本天文学会は「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」[22]とした。このときに、Caelum の訳名は「ちょうこくぐ」と定まり[23]、以降この呼び名が継続して用いられている。
主な天体
恒星
2026年9月時点で、国際天文学連合の恒星名称ワーキンググループ (WGSN) によって認証された固有名を持つ恒星は1つもない[24]。
- α星
- 太陽系から約66.5 光年の距離にある、見かけの明るさ4.45 等、スペクトル型 F2V のF型主系列星で、4等星[6]。
- β星
- 太陽系から約94.2 光年の距離にある、見かけの明るさ5.05 等、スペクトル型 F3IV の5等星[25]。
- γ1星
- 太陽系から約185 光年の距離にある、見かけの明るさ4.574等、スペクトル型 K2III-IIIb の主星A[26]と8.07 等、スペクトル型 G8IV の伴星B[27]からなる連星系[28]。はと座との境界線近くに位置しており、その大きな固有運動により2400年頃に境界線を越えてはと座の領域の星となる見込みである[29]。
- δ星
- 太陽系から約682 光年の距離にある、見かけの明るさ5.059 等、スペクトル型 B2IV/V の5等星[30]。
流星群
ちょうこくぐ座の名前を冠した流星群で、IAUの流星データセンター (IAU Meteor Data Center) で確定された流星群 (Established meteor showers) とされているものは、8月ちょうこくぐ座流星群 (August Caelids, ACD) の1つのみである[8]。これは2026年10月に確定流星群に加えられたもので、8月5日頃を極大日としている[8]。
脚注
注釈
出典
- 1 2 “The Constellations”. 国際天文学連合. 2025年3月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年9月14日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 Ridpath, Ian. “Caelum”. Star Tales. 2023年1月5日閲覧。
- 1 2 “Constellation boundary”. 国際天文学連合. 2025年3月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年10月1日閲覧。
- 1 2 山田陽志郎「星座」『天文年鑑2024年版』誠文堂新光社、2023年11月30日、328-331頁。ISBN 978-4-416-11545-9。
- 1 2 3 “星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2026年1月1日閲覧。
- 1 2 “alf Cae”. SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2026年10月10日閲覧.
- ↑ Frommert, Hartmut (2013年4月26日). “Messier Index”. SEDS Messier Database. 2026年10月10日閲覧。
- 1 2 3 “流星群の和名一覧(極大の日付順)”. 国立天文台 (2026年11月5日). 2026年11月7日閲覧。
- 1 2 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、224頁。ISBN 978-4-7699-0825-8。
- ↑ Ridpath, Ian. “Lacaille’s southern planisphere of 1756”. Star Tales. 2023年1月7日閲覧。
- ↑ “Histoire de l'Académie royale des sciences” (フランス語). Gallica. 2023年1月7日閲覧。
- ↑ “Coelum australe stelliferum / N. L. de Lacaille”. e-rara. 2023年1月7日閲覧。
- ↑ “Extract (translated) from a letter from Professor Bessel to Sir J. F. W. Herschel, Bart. dated Königsberg, January 22, 1844”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society (Oxford University Press (OUP)) 6 (5): 62-64. (1844). Bibcode:1844MNRAS...6...62.. doi:10.1093/mnras/6.5.62. ISSN 0035-8711.
- 1 2 Ridpath, Ian. “The IAU list of the 88 constellations and their abbreviations”. Star Tales. 2026年10月10日閲覧。
- 1 2 Stroobant, Paul-Henri (1922). “Notations”. Transactions of the International Astronomical Union. General Assembly held in Rome in 1922 May. Vol. 1. IAU. p. 158.
- ↑ 伊世同 (1981-04) (中国語). 中西对照恒星图表 : 1950.0. 北京: 科学出版社. p. 131. NCID BA77343284
- ↑ 大崎正次「辛亥革命以後の星座」『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年5月5日、115-118頁。ISBN 4-639-00647-0。
- ↑ 「星座名」『天文月報』第2巻第11号、1910年2月、11頁、ISSN 0374-2466。
- ↑ 東京天文台 編『理科年表 第1冊』丸善、1925年、61-64頁。
- ↑ 天文同好会 編『天文年鑑』1号、新光社、1928年、3-6頁。doi:10.11501/1138361。
- ↑ 『文部省学術用語集天文学編(増訂版)』(第1刷)日本学術振興会、1994年11月15日、316頁。ISBN 4-8181-9404-2。
- ↑ 「星座名」『天文月報』第45巻第10号、1952年10月、13頁、ISSN 0374-2466。
- ↑ “IAU-Catalog of Star Names (CSN)”. exopla.net – IAU-Working Group on Star Names (2026年8月13日). 2026年10月10日閲覧。
- ↑ “bet Cae”. SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2026年10月10日閲覧.
- ↑ “gam Cae A”. SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2026年10月10日閲覧.
- ↑ “gam Cae B”. SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2026年10月10日閲覧.
- ↑ “gam Cae”. SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2026年10月10日閲覧.
- ↑ Moore, Patrick (2013-06-29). The Observer’s Year: 366 Nights of the Universe. Springer Science & Business Media. p. 234. ISBN 9781447136132
- ↑ “del Cae”. SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2026年10月10日閲覧.