ガチンコは、大相撲やプロレスにおける「真剣勝負」を意味する隠語である。
同義語はガチ、シュート(英語: shoot)、セメント、ピストル、コンテスト。反対語は「八百長」、大相撲においては「注射」、プロレスにおいては「ケーフェイ」、「ワーク」などと呼ばれる。

近代において相撲はスポーツであり、本場所での取り組みはすべて真剣勝負、つまりガチンコであることが建前上は当然とみなされている。これに対して、地方巡業などの本場所以外での花相撲ではあえてガチンコをとらず、無気力相撲ともとれる取り組みや地元出身力士に花を持たせるような取り組みが度々行われている。これは花相撲が興行的な側面が強いイベントであり勝敗も番付に影響しないこと、相撲がもともと過酷な格闘技であること、などの理由がある。昭和前期の大関名寄岩には「花相撲で部屋の横綱である双葉山に勝って師匠に怒られた」という逸話がある。
大相撲の真剣勝負性に関しては、そもそも格闘技で年90回(十両以上は1場所15番×年6場所)もガチンコで試合を行うというのはアスリートの肉体的に無理であり、それを行おうとすれば力士の生命に対する危険はより高くなってしまうという意見もある[1]。
また、古くから人情相撲というフレーズもある。
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1920年代にエド・ルイスらが「トラスト」と呼ばれるプロレスラーの組合を結成して以降、プロレスはブックと呼ばれる事前の打ち合わせに基づいて試合が行われるようになった。しかしながら選手間の人間関係の悪化などの理由により、しばしばその打ち合わせを無視して試合が進行する場合がある。このような試合をガチンコやシュートと呼ぶ。この隠語の発祥の地であるアメリカでは、リング内の真剣勝負のみならず、リング外でのストーリー破りもシュートと呼んでいる。また、レスラーは試合をファンによる乱入により妨害された場合には、乱入者に容赦ない攻撃を加えることがあるが、アメリカではこれもシュートと呼ばれる。日本ではリング内はガチンコ、リング外はシュートと呼んでいたが、リング内での真剣勝負もシュートと呼ばれる機会が増えている。
ガチンコが誘発される「人間関係の悪化」の要因は様々である。古くから存在する要因としては、金銭トラブルなど当事者のプロレスラー同士にプライベートでの直接の怨恨関係があった事例、プロレス団体が事前に設定したアングルやブック(特にタイトルマッチや、グリーンボーイの売り出しに絡む試合)に当事者のプロレスラーのどちらかでも納得しないまま強引にマッチメイクが行われてしまった事が遠因となっている事例が挙げられる。
プロモーターにとって意図しないシュートは「商品」であるプロレスラーの価値を下げる行為であるため、プロモーターの許可なくシュートを行ったレスラーに対して「制裁」が加えられることがある[注釈 1]。
日本では、メジャー団体経験者にローカル・インディー団体や学生プロレス出身者が挑むケースなど、試合を行うプロレスラーの実力差が極端に大きい場合、強者の側が単純な制裁目的で弱者側に一方的な攻撃を加え続けるしょっぱい試合に限りなく近いガチンコの他、弱者側が練習不足などの要因により難易度の高いプロレス技を危険な角度で決めてしまったり、打撃技をダメージの大きな当て方で当ててしまった場合(俗に「カタい」攻撃とも言われる)に、強者側が逆上する事で全く突発的にガチンコが始まってしまう場合もある。近年ではブログやSNS等における弱者側のプロレスラーによる日頃の発言や態度が遠因となり、強者側による制裁じみたガチンコが発生する事例も散見される。
ガチンコは実際にストリートファイトのような潰し合いが始まってしまった試合だけでなく、(睨み合ったままいつまでも試合が進行しない、不可解な挑発が行われた末に相手が試合を放棄してしまう等の)明らかにブックに則っている進行とは思えないような異常な展開を辿った試合に対しても、「不穏試合」といった名称で認定される事も少なくない。
シューターに分類されるプロレスラーが絡む試合の場合、相手の実力を試すなどの目的により、シューターの任意の判断で意図的にガチンコが仕掛けられる場合もある。また、プロレス興行を企画するプロモーターは、自身との間に何らかの遺恨を抱えたプロレスラーを制裁する目的や、実力が未知数のプロレスラーを試す目的で、こうしたシューターを用いたマッチメイクを行う事がある。
シュートは選手の格やマッチメイカーによって試合の勝敗をあらかじめ決めることなく、両者の実力によって決着を着ける意としても使用されることがあり、佐山聡が創設した総合格闘技である修斗及び立ち技格闘技のシュートボクシングの由来となっている。
「女子プロレス終わらない夢 全日本女子プロレス元会長 松永高司」によると全女の試合は基本的にシュート(ピストル)で行われていた。また、デビル雅美も「kamipro」146号誌上において「タイトル戦はシュートだった」と語っている。プロレスにおける実力主義についてはストロングスタイルも参照。
ただし、シュートという概念はそれ自体がアングルとして用いられることもあり、上記の試合についてそのような見方をする人も少なくない。このアングルをあたかもシュートであるかのように見せる手法は、海外では「ワークド・シュート(Worked shoot)」と呼ばれストーリーを盛り上げる演出としてポピュラーなもののひとつである。
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