スカーレット (U2の曲)
| 「スカーレット」 | |
|---|---|
| U2の楽曲 | |
| 初出アルバム『アイリッシュ・オクトーバー』 | |
| 英語名 | Scarlet |
| リリース | 1981年10月12日 |
| 録音 | 1981年 ウィンドミル・レーン・スタジオ(ダブリン) |
| ジャンル | ポストパンク、アンビエント |
| 時間 | 2分53秒 |
| レーベル | アイランド・レコード |
| 作詞 | ボノ |
| 作曲 | U2 |
| プロデュース | スティーヴ・リリーホワイト |
『スカーレット』(Scarlet)は、アイルランドのロックバンド、U2が1981年に発表した2枚目のスタジオ・アルバム『アイリッシュ・オクトーバー』の10曲目に収録されている楽曲である。
ジ・エッジによる穏やかなピアノの旋律とベースラインがフィーチャーされた静かな楽曲であり、ボーカルのボノが全編を通して「Rejoice(喜べ/歓喜せよ)」というたった一つの単語だけを繰り返し歌い続けるという、実質的なインストゥルメンタルに近い賛美歌のような構成が特徴的である。
解説
バンドには、キリスト教やイエス、そしてシャロームの活動のために、自分たちの音楽を利用するよう強い圧力がかかっていた。シャロームの結束の強いメンバーたちは、U2が獲得した影響力を利用して、キリスト教を積極的に広めるべきだと考えていたる[1]。
ボノは当時を振り返り、「神にセールスマンが必要なのだろうか?」と考えていたという。「これを説教壇で声高に語るようなものにまで矮小化する必要が本当にあるのか」と疑問を抱いていた。アメリカを訪れた際には、福音派や原理主義者、宗教放送の実態にも触れ、テレビを通して金銭を集めようとする説教師たちを目にした。そのため、信仰について恥じていたわけではないが、それを中古車のセールスマンのように売り歩くつもりはなかったと語っている[1]。
こうした姿勢は本曲にも表れており、曲は極めてミニマルな構成になっている。もともとはインストゥルメンタル曲として作られ、ボノが歌詞を付けられなかった可能性もあるが、そのシンプルさが現在まで曲の魅力を保っている。ジ・エッジがピアノを演奏し、アダム・クレイトンがメロディックなベースを加え、ラリー・マレンは抑制されたパーカッションを担当している。
ポール・マクギネスから贈られたグレゴリオ聖歌のアルバムの影響も、ボノの合唱風の歌唱にうかがえる[1]。
本曲は後の「40」へとつながる前段階ともいえる作品であり、U2がその後さらに発展させていく音楽的な方向性の一端を示していると、『ホットプレス』誌のビル・グラハムもナイル・ストークスも指摘している[2][1]。
ライブ
本曲は、長期間にわたってコンサートで演奏されなかった楽曲である。1981年9月3日にロンドンのBBCラジオ1、メイダ・ヴェール・スタジオで行われたリチャード・スキナーの番組用セッションで初めて演奏され、この録音は後に『アイリッシュ・オクトーバー』のデラックス・エディションに収録された。しかし、その後はコンサートのセットリストに加えられることがなかった[3]。
約29年後の2010年11月25日、U2 360°ツアーのニュージーランド・オークランド公演で、初めてコンサートで演奏された。この公演は1981年9月3日のBBCセッションから29年2か月22日後に当たり、当時、U2の楽曲における演奏間隔の最長記録となった[4]。この日の演奏にはジェイ・Zも参加した[5]。
復活の背景には、長年自宅軟禁下に置かれていたアウンサンスーチーが2010年11月13日に解放されたことがあった。ツアーの舞台デザイナーであるウィリー・ウィリアムズによれば、それまでアウンサンスーチーへの支持を示すために演奏されていた「MLK」を引き続き使用することは適切ではないと考え、その代わりとなる楽曲として本曲が選ばれたという。その後、本曲は2011年までのU2 360°ツアー後半に継続して演奏された[6]。
脚注
出典
- 1 2 3 4 Stokes 1996, pp. 34–35.
- ↑ グラハム 1998, p. 31.
- ↑ “u2songs | 1981-09-03 U2, BBC Maida Vale Studio, London, England |”. www.u2songs.com. 2026年8月25日閲覧。
- ↑ U2Gigs「2010-11-25: Mt Smart Stadium - Auckland, New Zealand」
- ↑ Axver, Matthias Muehlbradt, Andre (2010年11月25日). “U2 Auckland, 2010-11-25, Mt Smart Stadium, 360° Tour - U2 on tour”. U2gigs.com. 2026年8月25日閲覧。
- ↑ “u2songs | 2010-11-25 U2, Mt Smart Stadium, Auckland, New Zealand |”. www.u2songs.com. 2026年8月25日閲覧。
参考文献
- グラハム, ビル 著、川原真理子 訳『スーパーロックガイド/U2』シンコーミュージック、1998年。ISBN 978-4401615131。
- U2 著、前むつみ,久保田祐子 訳『U2 BY U2』シンコーミュージックエンタテイメント、2006年。ISBN 978-4401630417。
- Stokes, Nail (1996). Into the Heart: The Stories Behind Every U2 Song. Omnibus Press
- Bono (2025). Bono: Stories of Surrender. Penguin (Cornerstone). ISBN 978-1529160598