トゥモロー (U2の曲)

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「トゥモロー」
U2の楽曲
初出アルバム『アイリッシュ・オクトーバー』
録音1981年7月 - 8月
(ダブリン・ウィンドミル・レーン・スタジオ)
ジャンルポストパンク、ケルト音楽
時間4:39
レーベルアイランド・レコード
作詞・作曲U2(作詞:ボノ)
プロデューススティーヴ・リリーホワイト

『トゥモロー』(Tomorrow)は、アイルランドのロックバンド、U2が1981年に発表した第2作目のスタジオ・アルバム『アイリッシュ・オクトーバー』に収録されている楽曲である。

ボノが14歳の時に脳出血で急逝した最愛の母、アイリス・ヒューソンの死と、その葬儀の悲痛な記憶をテーマにした極めて私的で感情的な楽曲である。「明日には戻ってきてくれないか(Won't you come back tomorrow?)」という喪失感に満ちた悲痛な叫びを通して、身を切られるような悲しみと、残された者の精神的な葛藤が歌われている。

音楽的には、アイルランドの伝統的な管楽器であるイリアン・パイプス(ヴィニー・キルダフが演奏)が全面的にフィーチャーされているのが最大の特徴である。ケルト音楽特有の物悲しく幽玄な音色で静かに幕を開け、後半に向けてバンドの激しいロック・アンサンブルへとドラマチックに展開していく構成となっており、初期U2の楽曲の中でも特異な存在感を放っている。

解説

ダブリン公演でU2とともに、イリアン・パイプを演奏るヴィニー・キルダフ

「トゥモロー」は、ボノが母親アイリス・ヒューソンの葬儀を題材にした楽曲である。歌詞を書いている段階では北アイルランド紛争で亡くなった人のことを書いたのだと思い込んでいたが、アルバム完成後になって初めて、「明日戻って来てくれるよね/今夜僕は眠れるかな?/外に誰かがいる/ドアをノックするんだ/道端に黒塗りの車が一台停まっている」という歌詞が母親の葬儀を詳細に描いていたことに気づいたという。本人は後年、この曲を「自分が何について書いているのか分からないまま書いた曲」の典型例として振り返っている[1]。

U2の曲で唯一イリアン・パイプを使用している曲。この楽器の選択には、アメリカでのツアー経験を通じて、ボノが自らのアイルランド人としてのアイデンティティを強く意識するようになったことが影響している。ただし当時、AC/DCの「It’s a Long Way to the Top (If You Wanna Rock ’n’ Roll)」や、ポール・マッカートニーの「夢の旅人」など既にイリアン・パイプをフィーチャーしたロックソングは存在していた[2]。

イリアン・パイプを演奏しているのはアイルランド人のマルチミュージシャンヴィニー・キルダフ(英語版)で、後にイン・トゥア・ヌア(英語版)のメンバーとなり、ザ・ウォーターボーイズの『Fisherman's Blues』やクラナド、シネイド・オコナーとのレコーディングにも参加している[2]。

曲は後半に向けて、バンドの激しいロック・アンサンブルへとドラマチックに展開していくが、『ホット・プレス』誌のビル・グラハムは、「ムードが台無し」「せっかくの(曲の)魔法も効力を失う」「U2も当時はまだ、情熱とロックンロールの速度は正比例するという誤った考えを、無意識のうちに抱え込んでいたんだろう」と評している[3]。

コモン・グラウンド・ヴァージョン

1996年のドーナル・ラニーがプロデュースによるケルトミュージックのコンピ『コモン・グラウンド(Common Ground)』に「トゥモロー(コモン・グラウンド・ヴァージョン)」が収録されている。当時はU2の別プロジェクト、パッセンジャーズの『オリジナル・サウンドトラック 1』のプロモーションの真っ最中で多忙であったため、参加したのはボノとアダム・クレイトンだけだった[4]。

脚注

出典

  1. ↑ Stokes 1996, pp. 29–30.
  2. 1 2 “Vinnie Kilduff Biography | Irish Songwriter | Contemporary Irish music | Irish Musician”. vinniekilduff.com. 2026年8月9日閲覧。
  3. ↑ グラハム 1998, pp. 28–29.
  4. ↑ “u2songs | Various Artists - "Common Ground" Album |”. www.u2songs.com. 2026年8月9日閲覧。

参考文献

  • グラハム, ビル 著、川原真理子 訳『スーパーロックガイド/U2』シンコーミュージック、1998年。ISBN 978-4401615131。 
  • U2 著、前むつみ,久保田祐子 訳『U2 BY U2』シンコーミュージックエンタテイメント、2006年。ISBN 978-4401630417。 
  • Stokes, Nail (1996). Into the Heart: The Stories Behind Every U2 Song. Omnibus Press 
  • Bono (2025). Bono: Stories of Surrender. Penguin (Cornerstone). ISBN 978-1529160598