皿ヶ嶺
| 皿ヶ嶺 | |
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重信町から望む皿ヶ嶺 | |
| 標高 | 1270.5 m |
| 国 |
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| 所在地 | 愛媛県東温市・久万高原町 |
| 位置 |
北緯33度43分03秒 東経132度53分40秒 / 北緯33.7175度 東経132.8944度座標: 北緯33度43分03秒 東経132度53分40秒 / 北緯33.7175度 東経132.8944度
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| 山系 | 石鎚山脈(四国山地)、皿ヶ峰連峰 |
皿ヶ嶺(さらがみね)は、四国山地のうち、石鎚山脈の西部、愛媛県 中予地方の東温市と久万高原町とにまたがる場所に位置する、標高1271mの山である[1][2][3]。
また、皿ヶ嶺とその周辺の一帯は、愛媛県により、皿ヶ嶺連峰県立自然公園に指定されている[2][4] 。
なおこの記事では、皿ヶ嶺に隣接している、陳ヶ森(じんがもり)についても簡単に説明する。
概要
石鎚山脈は、地質境界線、かつ活断層系である中央構造線の南側に沿って東西に長く伸びているが、この皿ヶ嶺も、石鎚山脈の一部であり、石鎚山からは、西に約20kmの場所に位置している[1]。
石鎚山脈は、石鎚山の西 約4kmの位置にある堂ヶ森までは標高が1500mを越えているが、そこより西側の、松山平野(東温市)に面する部分では、石墨山、皿ヶ嶺と、徐々に高度を下げている[1]。
皿ヶ嶺を含む、これらの山々は、皿ヶ嶺連峰、あるいは東温アルプス[注釈 1]と呼ばれている[2][5]。
皿ヶ嶺は、それらの山々の中でも、特徴的な平坦な頂きを持ち、麓からも良く目立つ山である。名前の由来としては、その山容が、皿を伏せたように見えることから皿ヶ嶺の名が付いた、という[4]。
また下記のように登山道がいくつかあり、古くから登山の対象として親しまれている[2] [5]。
植生としては中腹部まではスギなどの人工林となっているが、山頂部を中心に比較的多く自然林が残されている[2]。
皿ヶ嶺の北側は、中腹までは急傾斜になっている[4]。 しかし、山頂付近は比較的平坦な山容であり、その山頂部の一部には、竜神平と呼ばれる湿原 [注釈 2]もある[2]。
冬季は、石鎚山脈の標高の高い山ほどではないが、しばしば積雪が見られる。また、この山の西側中腹には、久万スキーランドというスキー場もある[1]。
なお、山頂には二等三角点、「行長」が設置されている。
植生
皿ヶ嶺の中腹より下は、スギなどの人工林となっているが、風穴コースの登山口から龍神平までの間は、皿ヶ嶺の中でも特に自然豊かな、ブナ、ミズナラなどを中心とした自然林となっており、登山道沿いは、4月下旬から5月には多くの花々が咲き乱れ、皿ヶ嶺が最も多くのハイカーで賑わう季節である[2][3]。
その時期に咲く主な花々としては、シコクカッコウソウ、コンロンソウ、イチリンソウ、ヤマルリソウ、ヤマブキソウ、ハシリドコロ、などの花のほか、スミレ類も種類が多い。また、初夏から夏季にかけてや、また秋季にも、季節に応じた様々な花が咲く[2][3][6]。
登山ルート
皿ヶ嶺の登山口は、水の元、風穴、六部堂など、7か所ある[5]。
特に利用者が多いのは、北側の東温市(上林地区)から車で八合目までアクセスでき、かつ登山口から頂上部まで、自然が多く残されている、風穴コースである[2]。
「陣ヶ森」について
ここでいう陣ヶ森(じんがもり)という山は、皿ヶ嶺の山頂部から東へ約2kmの位置にある、標高1207mの山である[1]。
皿ヶ峰のうち、竜神平の少し北側から登山道が分岐しており、登山道は途中の上林峠まで続いており、そこから先は南の久万高原町側からきている林道になる[2]。 この林道はこの陣ヶ森の頂上部まで続いている。頂上部には電波塔があり、前述の通り山頂部まで林道も通じている為、登山対象としては注目度は低く、登山ガイドブック類にも記載されていない。
なお、高知県の中部にも、同名の陣ヶ森(じんがもり)という標高1013mの山があるが、こちらは四国百名山に選定されている別の山である[1][3]。[注釈 3]
地形
皿ヶ嶺の地形的特徴としては、その名称のとおり、頂上部が広い小起伏面になっており、また北側は逆に断崖のような急斜面となっていることが挙げられる[1]。
龍神平を含むこの頂上部の広い小起伏面は、隆起準平原と推定されている[7] [8]。 地形学の分野では、この小起伏面を、皿ヶ嶺面と呼ぶことがある。 また、北側の急斜面は、過去に極めて大規模な地すべりが起き、それによって生じた崩壊斜面、と推定されている[8]。
地質
皿ヶ嶺を含めた石鎚山脈は、日本の地帯(地体)構造区分では、三波川帯に属しており、多くの場所で高圧型変成岩の一種、結晶片岩類が広く分布している[9]。
しかしこの皿ヶ嶺付近では、新第三紀の中新世中期に、大規模な火山活動が生じ、その時に噴出した火山岩類が広く分布している。結晶片岩類は、北側及び南側の山麓部にわずかに分布しているだけである。山麓部に分布しているこの結晶片岩類の種類は、苦鉄質片岩(緑色片岩)である[10]。
皿ヶ嶺の山体の大部分は、新第三紀の中新世中期のうち、約15~14Ma[注釈 4] に活動した火山活動による、主に安山岩質の溶岩、火砕岩からなる[10] [11]。
その分布域は、東端は石墨山のさらに東にある黒森峠付近まで、西端は、松山平野と久万高原町とを結ぶ国道が通っている三坂峠を越え、黒森山の西側付近まで、東西方向に約20km、南北方向に最大 約10kmの範囲に広がっている[10][11] [12]。
この火山噴出物は、石鎚山脈の中部から西部に広がっており、石鎚層群、あるいは石鎚火成岩類、とよばれる中新世中期の火山噴出物の一部であり、黒森峠安山岩、あるいは黒森累層と呼ばれる地質体である。黒森峠安山岩は、中新世中期に、現在の石鎚山付近で火山活動を起して噴出した、高野(こうや)火砕流堆積物の少し後の時代に噴出し、その上を覆うように堆積している。その現存する層厚は、450m以上と推定されている[11] [12]。
なお、この黒森峠安山岩を噴出した火山の場所は明確にはなっていないが、現存する分布域から見て、現在の石鎚山付近で活動した、石鎚コールドロンからとは考えにくく、現在の分布域内で活動したと考えられている[11][12]。
更に、皿ヶ嶺の最高地点を含む山頂部には、黒森峠安山岩の上位に、皿ヶ嶺安山岩とよばれる火山岩が堆積している。浸食などによってかなり失われているためと思われるが、分布域はかなり狭く、南北方向にに約1km、東西方向に最大約500mの範囲である[10]。岩質は主に安山岩で、それ以外にデイサイト質、流紋岩質の火山岩からなる[11]。
この皿ヶ嶺安山岩を噴出した火山がどこにあったかは、明確にはなっていないが、皿ヶ嶺の東方約10kmの位置に、安山岩からデイサイト質の貫入岩体が確認されており、そこが火山活動の中心部である、という推定がある[11] [12]。
また、皿ヶ嶺のあちこちに、小規模な粗面安山岩質の貫入岩体が分布している[10]。 この貫入岩体の形成時代も、上記の黒森峠安山岩や皿ヶ嶺安山岩とほぼ同じ、中新世中期である[10]。
火山岩類以外の地質体としては、皿ヶ嶺の北側山麓部、及び南側山麓部に、久万層群[注釈 5] と呼ばれる、礫岩を主体とした、中新世中期の堆積物が、わずかに分布している[13]。
この久万層群は、皿ヶ嶺の北側と南側の両方に分布していることや、堆積年代が中新世中期のうち、上記の火山活動より少し前と推定されていることから、上記の火山活動による噴出物により現在の皿ヶ嶺地域の大部分が覆われる前には、現在の皿ヶ嶺地域の一帯に、広く分布していたことが推定されている[13]。
ギャラリー
- 頂上
- 竜神平
脚注
注釈
- ↑ 北麓の自治体、東温市は、「平成の大合併」で、(旧)重信町と、(旧)川内町が合併してできた自治体であり、それ以降、「東温アルプス」という表現が使われるようになった。以前は「皿が峰連峰」と呼ぶことが多かった
- ↑ 龍神平は、かつては湿原であったが、2000年ころ以降は、乾燥化が進み、笹原へと変化しつつある。
- ↑ ここでいう愛媛県の「陣ヶ森」は、ウイキペディア内にこれまで項目が作られていないが、改めて記事を作成するほど重要な山とも思われないので、この「皿が峰」の項の一角に記載した(2026-5)
- ↑ ”Ma” は、百万年前を意味する単位である
- ↑ 「久万層群」の「久万」(くま)とは、愛媛県中部の自治体、(旧)久万町(現 「久万高原町」)に因む
出典
- 1 2 3 4 5 6 7 “地理院地図(電子国土WEB)”. 国土地理院. 2026年5月2日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 石川 道夫、西田 六助、豊田 康二、岡山 健仁『分県登山ガイド (37) 愛媛県の山』(初版)山と渓谷社〈分県登山ガイド シリーズ〉、2016年11月5日、88-90頁。ISBN 978-4-635-02067-1。
- 1 2 3 4 5 石川 道夫、清家 一明 ほか5名『四国百名山』山と渓谷社、2000年9月10日、44-45頁。ISBN 4-635-53028-0。
- 1 2 3 “2010 東温市市勢要覧”. 東温市. 2022年12月3日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 “東温アルプスガイド”. 東温市観光物産協会. 2022年12月3日閲覧。
- ↑ 伊藤 和美、上田 敏博、大島 実 ほか6名 著「「皿ヶ嶺」の項」、「愛媛の山と植物の会」 編『愛媛の山と四季の花』青葉図書、2004年3月21日、148-155頁。ISBN 4-900024-73-2。
- ↑ “国土地理院ホームページのうち、「隆起準平原」の項”. 「国土地理院ホームページ」>「地図・空中写真・地理調査」>「主題図(地理調査)」>「 日本の典型地形について」>「その他の地形」>「隆起準平原」. 国土地理院. 2026年3月23日閲覧。
- 1 2 “「Kashmir3D による「日本の地形千景プラス」」サイト”. 「日本の地形千景」のうち、「皿ヶ嶺」の項. GeoInformation Potal Hub (2024年). 2026年3月23日閲覧。
- ↑ 日本地質学会 編「(「三波川帯」の項、ほか)」『日本地方地質誌 第7巻 四国地方』(初版)朝倉書店、2016年、1-9,51-71,78-81頁。ISBN 978-4-254-16787-0。
- 1 2 3 4 5 6 “産総研「20万分の1日本シームレス地質図V2」”. 産業技術総合研究所 地質調査総合センター (2025年7月18日). 2026年3月23日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 日本地質学会 編「(新第三紀火成岩類;「石鎚火成岩類」の項)」『日本地方地質誌 第7巻 四国地方』朝倉書店、2016年、255-257頁。ISBN 978-4-254-16787-0。
- 1 2 3 4 吉田 武義; 村田 守; 山路 敦 (1993年). “石鎚コールドロンの形成と中新世テクトニクス”. 地質学論集 第42巻: pp297-349.
- 1 2 日本地質学会 編「(新生代堆積岩類;「久万層群」の項)」『日本地方地質誌 第7巻 四国地方』(初版)朝倉書店、2016年、282-286頁。ISBN 978-4-254-16787-0。
