寒峰

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寒峰
頂上目前
標高 1,605 m
所在地 日本の旗 日本
徳島県 三好市
位置 北緯33度54分06.4秒 東経133度54分14.2秒 / 北緯33.901778度 東経133.903944度 / 33.901778; 133.903944座標: 北緯33度54分06.4秒 東経133度54分14.2秒 / 北緯33.901778度 東経133.903944度 / 33.901778; 133.903944
山系 剣山地(四国山地)
寒峰の位置(徳島県内)
寒峰
寒峰
寒峰 (徳島県)
寒峰の位置(日本内)
寒峰
寒峰
寒峰 (日本)
プロジェクト 山
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寒峰(かんぽう)は、四国山地のうち、その東部にあたる剣山地に位置する、標高 1605 mの山である [1] [2] [3] [4] [5] [注釈 1] 。

行政区画的には、徳島県 三好市(旧;東祖谷山村)に属する [1] [3] 。

またこの山は、四国百名山の一つに選定されている [3] 。

概要・地理・地形

四国山地の東部は、一般的には剣山地と呼ばれている。この寒峰は、剣山地のうち、祖谷川上流部が作る谷の北側に位置する、標高 1605 mの山である [1] [2] [3] [4] 。

祖谷川の上流部は、奥祖谷とも呼ばれているが、この地域は四方を山に囲まれ、秘境とも呼ばれる山深い地域である。また平家の落人伝承があることでも知られている [6] 。

寒峰の山容は、祖谷川上流部に面する南側は急斜面となっているが、山頂部やその周辺は、比較的なだらかな笹原となっている。また山頂部より北側は、烏帽子山(標高 1670m)、矢筈山(1849 m)などの剣山地北部の山々と稜線がつながっている [1] 。

このように、渓谷沿いの下部から中腹部は急傾斜で、山頂部は比較的傾斜が緩い、あるいは台地状の小起伏面となっている、という傾向は、この寒峰だけではなく、例えば剣山地の主峰である剣山(1955 m)や、石鎚山脈に位置する瓶ヶ森( 1897 m)、四国山地中部に位置する、梶ヶ森(1400 m)など、四国山地の山々にしばしば認められる地形学的な特徴である [1] 。この要因として地形学の観点からは、四国山地の隆起速度が比較的大きいことが影響している、と推定されている [7] 。

寒峰の頂上部は笹原となっている為、展望に優れている。北から東にかけては、矢筈山などの上記の山々が、南から南東方向には、祖谷川上流部を間に挟んで、三嶺(1894m)、天狗塚(1812m)や剣山などの剣山地中核部の山々が、また西側には、剣山地西部の国見山(1409m)、中津山(1447m)などが望める [2] [3] [4] 。

この山の山頂部には、二等三角点が設置されている。三角点の公式名称は山名と同じく「寒峰」、標高値は、1604.71m(作業年月;2024年12月)となっている [8] 。

平家の落人伝承

この寒峰は、いわゆる平家の落人伝承とも深い関係がある。すなわち、屋島の戦い(現在の香川県)に敗れた平家の落人たちは、安徳天皇と共に、剣山地の北側に位置する吉野川流域から、吉野川支流が作る、井内谷(いないだに)沿いに剣山地の山懐に入り、更にこの寒峰付近を越えて、祖谷川上流部の奥祖谷地域へと逃げ延びて隠れ住んだ、と言い伝えられている。またこの山の南側、登山口の近くにある、栗枝渡(くりしど)集落は、安徳天皇が7才にして病気で亡くなった場所とされ、その集落に現在もある栗枝渡八幡神社は、その亡骸を火葬にした場所、とも伝えられている [2] [3] [4] [9]。

山名

「寒峰」(かんぽう)という名の由来は定かではないが、一説によると、頂上部が笹原であるため、風が吹き抜ける寒々しい山という意味ではないか、ともいわれる [2] [3] [5]。

植生

寒峰の植生としては、その頂上部は、前述のとおり笹原となっている。また、寒峰の山頂部から北東側へと続く、烏帽子山や落合峠へと続くなだらかな稜線部も笹が多い。一方、南側斜面は、スギなどの人工林に化している場所が多いが、一部にはブナなどの自然林も残っている。また南側の中腹部は、かつては和紙の原料用として栽培されていたミツマタ畑の跡地などが、フクジュソウの群落地となっている。例年3月になると雪解けを待つように、フクジュソウが一斉に咲き誇る。この時期は、この寒峰が登山者で最も賑わう時期である [2] 。その他、夏から初秋には上部の笹原に、イブキトラノオ、ギンバイソウ、オトギリソウ、マツムシソウなどの花が咲く [3]。

登山ルート

寒峰への主な登山ルートは、以下の2つがある。その他にも、南側の奥祖谷地域からの登山ルートが登山ガイドブック類には記載されているが、詳細は略す。

・   奥祖谷からのルート;奥祖谷地域にある、栗枝渡(くりしど)集落付近の登山口から、寒峰の南斜面を登るルートで、前述の通り、フクジュソウ群落などがある [2] [3] [4] 。

・   落合峠からのルート;奥祖谷地域にある、落合(おちあい)分岐から車で稜線上の、落合峠(標高 約1520 m)まで上がり、そこを登山口とし、南西へと稜線沿いに歩くルートがある。このルートは、笹原の中を進むルートで展望が良く、また標高差は少ないが、距離は長い [3] [4] [5] 。

この2つの登山ルートは、古くからあったものと思われるが、1993年(平成5年)に開催された、徳島県での国体の登山競技のために、改めて整備されたものだという [4] 。

地質

まず四国の地帯(地体)構造のうち、重要な地質境界線である中央構造線より南側の地質構造を大まかにみると、北部には結晶片岩類などの高圧型変成岩類が分布する、三波川帯が東西走向に分布しており、中部にはジュラ紀の付加体などからなる、「広義の秩父帯」[注釈 2] がほぼ東西走向に分布しており、その南側に白亜紀から古第三紀にかけての付加体を主体とする、四万十帯が分布している、という構成となっている [10] 。

剣山地全体は、上記の区分のうち、三波川帯と、ここでいう「広義の秩父帯」にまたがっているが、この寒峰は、高圧型変成岩帯である三波川帯(三波川変成コンプレックス)に属しており、下位区分では「白滝ユニット」に属しているとされている [11] [12] [注釈 3]。

具体的な地質としては、泥質片岩が山体の大部分を占めているが、山頂部、及び烏帽子山や矢筈山へとつながる稜線部は、珪質片岩や苦鉄質片岩(緑色片岩)の分布域となっている [11] [13] [14] [注釈 4] 。

関連項目

脚注

注釈

  1. ↑ 登山ガイドブックなどでは、「剣山地」のうち北部の山々を指して「矢筈山系」(やはずさんけい)と呼ぶ場合がある。また祖谷川上流部の北側の山々を指して「祖谷山系」(いやさんけい)や「祖谷山地」(いやさんち)と呼ぶ場合がある。「矢筈山系」、「祖谷山系」、「祖谷山地」といった山域名は範囲が不明瞭なので、この記事では使わず、「寒峰は剣山地に属する山」、とする
  2. ↑ ここでいう「広義の秩父帯」とは、四国地方において、結晶片岩類などの高圧型変成岩からなる三波川帯と、白亜紀から古第三紀にかけての付加体からなる四万十帯との間の地域にある、各種地質体が分布する「地理的地帯」(分布域)を意味する用語として使用する。具体的な地質体としては、「狭義の秩父帯」(地体)としてのジュラ紀の付加体のほか、ペルム紀の付加体、「黒瀬川(構造)帯」などと呼ばれる古生代前期から中期の各種地質体群、トリアス紀~ジュラ紀の高圧型変成岩類、白亜紀の堆積岩層などを含む。この用語は、この項での説明の為のものであり、オーソライズされているものではない。「秩父帯」という地帯の定義が、研究が進むにつれ逆に不明確になっているため、このような表現とした。
  3. ↑ 2000年代以降、日本の地質学界では、「地帯」(あるいは「コンプレックス」)の下位区分を、「○○ユニット」と名称が付けられることが多いが、研究者や時代によってその名称が違うこともある。ここでは参照した「出典」によった
  4. ↑ 「泥質片岩」とは、「黒色片岩」や「雲母片岩」、「白雲母片岩」などとも呼ばれるが、泥岩類を原岩とし、高圧型変成作用を受けて変成した結晶片岩類の一種である。「苦鉄質片岩」とは、しばしば緑色を呈することから「緑色片岩」とも呼ばれるが、火成岩の一種である玄武岩(あるいはハンレイ岩)を原岩とし、高圧型変成作用を受けて変成した結晶片岩類の一種である。「珪質片岩」とは、「石英片岩」とも呼ばれるが、チャートが原岩と推定され、同じく高圧型変成作用を受けて変成した結晶片岩類の一種である(この注釈は、「出典」の項に記載の、「観察を楽しむ、特徴がわかる岩石図鑑(西本著))を元として記載した)

出典

  1. 1 2 3 4 5 “地理院地図(電子国土WEB)”. 国土地理院. 2026年6月16日閲覧。
  2. 1 2 3 4 5 6 7 徳島県勤労者山岳連盟(著)『分県登山ガイド(35)徳島県の山』(2018年版)山と渓谷社、2018年7月30日、83-85頁。ISBN 978-4-635-02065-7。
  3. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 石川 道夫、清家 一明、谷山 省一郎、井本 淳作、ほか3名(共著)『四国百名山』山と渓谷社、2000年9月10日、104-105頁。ISBN 4-635-53028-0。
  4. 1 2 3 4 5 6 7 “寒峰”. 山渓オンライン. 山と渓谷社 (2023年8月29日). 2026年6月16日閲覧。
  5. 1 2 3 角川日本地名大辞典 編纂委員会 編「「寒峰」の項」『角川日本地名大辞典(36)徳島県』(2009年版)角川学芸出版社、2009年9月25日、269頁。ISBN 978-4-04-622953-3。
  6. ↑ “「奥祖谷」”. 三好市公式観光サイト「大歩危祖谷ナビ」. 三好市役所. 2026年6月16日閲覧。
  7. ↑ 米倉 伸之 貝塚 爽平 野上 道夫 鎮西 清高 (共編) 編「第5部 「日本列島の山地地形」のうち、5-1章「山地の特性」、5-2章「浸食小起伏面の発達」)」『日本の地形 第1巻 総説』東京大学出版会〈日本の地形シリーズ〉、2001年3月22日、131-149頁。ISBN 4-13-064711-3。
  8. ↑ “基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2026年6月16日閲覧。
  9. ↑ “「栗枝渡八幡神社」の項”. 徳島県観光情報サイト;阿波ナビ. 徳島県観光協会. 2026年6月17日閲覧。
  10. ↑ 日本地質学会 編「第1-3章「四国の地体構造区分」、第1-4章「四国の各地帯の概要」」『日本地方地質誌 第7巻 四国地方』朝倉書店、2016年2月25日、7-11頁。ISBN 978-4-254-16787-0。
  11. 1 2 “20万分の1地質図幅 「高知」”. 20万分の1地質図幅シリーズ (産業技術総合研究所 地質調査総合センター) ((管理番号)NI-53-28). (2018年).
  12. ↑ 原 英俊; 青矢 睦月; 野田 篤; 田辺 晋; 山崎 徹; 大野 哲二; 駒澤 正夫(共著) (2018年). “20万分の1地質図幅「高知」(第2版) 解説書”. 20万分の1地質図幅シリーズ (産業技術総合研究所 地質調査総合センター) ((管理番号)NI-53-28)).
  13. ↑ “産総研「20万分の1日本シームレス地質図V2」”. 産業技術総合研究所 地質調査総合センター (2026年5月10日). 2026年6月16日閲覧。
  14. ↑ 西本 昌司「変成岩の章のうち、「黒色片岩」、「白雲母片岩」、「石英片岩」、「緑色片岩」の各項」『観察を楽しむ 特徴がわかる岩石図鑑』ナツメ社、2020年8月1日、154-159,162-163頁。ISBN 978-4-8163-6852-3。